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infinity(インフィニティVol6)

Vol.6 2014年10月10日発行

目次:

  1. KEY NOTE: 「戦略PR」の終わりの始まり~「戦略PR」に見るこれからのマーケティングの共通的本質~
  2. MANAGEMENT VIEW:思い通りにならないストレスが人を成長させる
  3. FOCUS PROJECT:外資系医療機器メーカーの受発注・問合せ対応業務を集約化、短期間での統合カスタマーセンター構築を包括的に支援!
  4. RECOMMENDATION:「ナタリーってこうなってたのか」大山 卓也(著)

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【KEY NOTE】
「戦略PR」の終わりの始まり~「戦略PR」に見るこれからのマーケティングの共通的本質~

売る理由のばらまきではなく、買う理由を見つけてもらう販促手法「戦略PR」。その終焉の先にあるこれからのマーケティングとは?


PR(Public Relation)とは、企業(日本では主に広報部)が、消費者の間接代表といえるメディアとのコミュニケーション(IR情報やプレスリリース、記者会見等)を通し、第三者的視座に立ち自社情報を授受することで自社や自社商材の認知を高めることを目的とした活動である。マーケティングの4Pの一つであるプロモーション(販促活動)の中に含まれる。

では「戦略PR」とは何か。従来のPRは、日本企業における広報部の立ち位置にもわかるように「客観的事実を授受する」という役割が主であり、販促的要素は強くない。しかし、広告ベースでの企業側からの一方的な情報発信の限界を克服する販促手法が求められる昨今、PRの客観性を戦略的に活用する考え方として台頭したのが「戦略PR」で、日本では2009年頃から注目されるようになる。

「戦略PR」とは、端的に言えば「買う理由を見つけてもらう」手法である。「戦略PR」は、第一に、商材自体ではなく、時流と商材をつなぐテーマ(商材が提供する価値、解決する課題)を打ち出し、次にそれを起点に世論を盛り上げ(カテゴリー訴求)、最終的にその世論の盛り上がりを自社商材の販売に落としこむ(自社商材訴求)という流れで展開される。例えばP&Gのパンパース。まず日本の赤ちゃんは世界的に見て睡眠時間が短く、成長に悪影響を及ぼす可能性があるという旨の情報を展開し、その後吸収力の良いパンパースは赤ちゃんの安眠をサポートできることをPRしたことでヒットにつながった。昨今のハイボールブームや、生姜ブームなどもこの手法に則ったとされる。この実践のためには①時流を読む力に加え、②自社商材の提供価値を明確化し追求すること、③その価値の必要性を訴求するストーリーとそれを具現化する仕掛け、④そして市場の温度感を見極め、最適なタイミングで商材を市場に供給する仕組みが必要不可欠だ。

新たな販促手法として注目されつつある「戦略PR」だが、本手法を日本で浸透させたと言われている本田哲也氏が最近「戦略PRは終わった」と発言し議論を呼んでいる。詳細は割愛するが「これからのマーケティングにおいては、本来の客観性をベースにしたからこそ創意工夫に限界のあるPR活動という手法と、主観的で時に扇情的だからこそ創意工夫に富む広告活動という手法との"いいとこ取り=ハイブリッド"が求められる。つまり、"戦略PRの次"が必要となったため、"戦略PR"という言葉が果たす役割は終わった」ということのようだ。換言すれば、PRや広告といった既存の枠組を超え、企業として伝えるべき価値・情報を、優良な商材を通し最適なストーリーで消費者に届ける、そして消費者から選んでもらうことに注力する。これこそが今後企業に求められるマーケティングであるという論旨と言える。

昨今インバウンドマーケティング、コンテンツマーケティング、アンバサダーマーケティング、ロイヤルホテルマーケティング等、様々なマーケティングの呼称があるが、表現の仕方、注力点はやや異なるものの、どれも上記「戦略PRは終わった」の論旨と同じ視座に立っているように見える。結局、これからのマーケティングにおいて必要とされつつある本質は変わらないのかもしれない。


【FOCUS PROJECT】
外資系医療機器メーカーの受発注・問合せ対応業務を集約化、短期間での統合カスタマーセンター構築を包括的に支援!

わずか3か月でセンター統合を実現。サービス品質を維持・向上させつつ、統合前比約3分の1の人員コスト削減に成功。クライアント企業よりプロジェクト成功事例として表彰を受ける。


弊社CRMシステムの既存ユーザである外資系医療機器メーカーC社様から、新規物流 拠点の立ち上げに伴い、受注センター機能を切り出し、外部委託した上でBCP(Business continuity planning/事業継続計画)対策も兼ね 地方移転したいというお話をいただいた。

  センター集約化により、医療機器についての専門知識を必要とする問い合わせ対応に社内リソースを集中、スケールメリットを向上させ、コスト削減を図ることが目的であった。

また、この機会に業務を標準化し、顧客に対する均一な品質のサービス提供、顧客の声の集積・活用によるマーケティング、商品開発やサービスへのフィードバックの仕組み等を構 築する狙いもあった。しかし、本国からの指示によりプロジェクト発足からセンター稼動まで与えられた期間は、わずか3か月。スピーディーかつ確実な計画が求められた。

そのような中、弊社に任されたのは、C社様の製品を扱う代理店のFAXやWEBによる受注内容の入力業務と、電話による問い合わせ対応である。注文は総て書面で行うが、顧客毎に注文用紙が異なるため、不明点があれば顧客に連絡し、誤発注を極力防ぐことが必要だ。在庫の有無や、注文数と実際にメーカー側が提供できる最少ロット数の差異の確認、納期の調整、そして顧客毎の独特な記入の仕方を把握する等、経験と細やかさが要求される。

月の処理件数はFAX受注約19,000件、WEB受注約38,000件、電話問合せ約6,500件と多く、FAX、WEB、電話業務に万遍なく対応するためマルチな処理能力も求められる。

新拠点立ち上げ時点から、C社様と共に様々な試練を乗り越え、スムーズな業務移転を 最大限支援した。

まずオペレーションを標準化し、ミス率を稼動開始当初より約5分の1に削減。そして出荷部門との協議による出荷リードタイムと配送コストの最適化を実現。スタッフは現地採用から育成、マインドケアなども一括で行い、離職率も全国平均よりはるかに低い。そして最終的に月約200万円の運営コスト削減を実現した。

九州での第二倉庫立ち上げ時のオペレーション方法策定や、システム構築支援までも携わらせていただき、C社様の絶大な信頼を得た。今後も更なる貢献を期待されている。

■ 統合センター構築~地方拠点立ち上げ(BCP対策含む)プロセス
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