infinity

infinity(インフィニティVol3)

Vol.3 2013年12月9日発行

目次:

  1. KEY NOTE: CXM(Customer eXperience Management)の意義~顧客経験価値マネジメントにはどのような意義があるのか?~
  2. MANAGEMENT VIEW:IT技術とは、何のためにあるのか?Technologyの提供価値は何であればよいのか?
  3. FOCUS PROJECT:大手オフィス用品通販企業の一部としてクライアントと連携、通販事業の心臓部である納期管理、入庫管理、受注引当業務までを支援
  4. RECOMMENDATION:「小澤征爾さんと、音楽について話をする」 小澤征爾×村上春樹

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【KEY NOTE】
CXM(Customer eXperience Management)の意義 ~顧客経験価値マネジメントにはどのような意義があるのか?~

Customer Experience:顧客経験価値を見つめることで、これまで軽視されてきた大切なものが見えてくる。そして、真の顧客志向が切り開かれていく。


大量生産・大量消費を前提としたマスマーケティングの時代から、消費者の個別のニーズに合せたOne To Oneマーケティングが重視される時代へと変化する中で、CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)が注目されるようになった。

CRMという考え方は、顧客との1対1の関係性を構築・管理することにより、顧客の利便性や満足度を向上し、顧客生涯価値(Life Time Value)を高めることと説かれ、90年代後半から広く浸透した。しかし、顧客生涯価値(Life Time Value)を高める側面のみ、あるいは短期的な売上効果のみが強調された誤解の下で、顧客への執拗な販売活動がなされ、満足度向上どころか、顧客に疎まれるようになったケースも少なくない。

こうした中で、CRMの本質的な側面を大切にする考え方として、昨今広まりつつあるのがCXM(Customer eXperience Management:顧客経験価値マネジメント)である、と我々は解している。すなわち、当社が考えるCRMはCXMを包含しており、CXMを新しい概念とは考えていないが、この考え方が本来のCRMに立ち戻らせ、新たな均衡をもたらすと考えている。

Customer Experience(顧客経験価値)は、一般に「商品やサービスそのものが持つ表面的・物理的な価値とは別に、商品やサービスを購入または利用する過程で得られる経験的・感情的な価値」という定義がなされている。交換価値(Value in Exchange)や使用価値(Value in Use)を含め、商品・サービスに関わるあらゆる経験を通じて醸成される感情的な価値を指している。

これは、企業と顧客の間のあらゆる接点が、顧客の感情的な価値に影響を与えることを意味する。店頭での接客、電話やメールでの対応、Webサイトのデザイン等、企業が行う対外的な行動のすべてと言っていいだろう。これらを管理するCXMで根源的に重要なのは、ブランドミッションであり、ブランドミッションに沿った運営・管理こそがCXMの真髄である。

逆に、ブランドミッションに沿っていない顧客接点業務は、ブランドに傷をつけ、ロイヤリティ低下を招来する。「人々の心を豊かに」というフレーズが入ったブランドミッションを掲げながら、コールセンターの応対が慌ただしく事務的な対応であったら、顧客はどう思うか。心のこもった対応がなされ、そこで感情を動かされた顧客は、そのブランドに心酔していく。

米国の調査によると、「合理的・論理的に満足」な顧客は最も流出しやすく、単に「不満足」な顧客よりも流出率が高い。そして「感情的・精神的に満足」な顧客は流出率が低い。価格や性能といった合理的・論理的な理由で購入に至った顧客は、同じ理由で他社へ流れていくが、心で喜びや親しみ等を感じた顧客は離れていかないということだ。

「感情的・精神的に満足」な顧客が増加すると、周囲に薦める顧客(Promoter)も現れる。最近よく耳にするNPS(Net Promoter Score)は、このような周囲への推奨可能性を指標化し、これを重視した事業運営の考え方である。CXMは、ブランド価値の保護や感情的なイメージ効果だけで収益性とは縁遠く見られがちだが、NPSの向上、ひいては売上の向上等に繋がっていくのである。

情報技術の発展の中で、感情面や精神面は軽視されがちである。しかし、真のCRMの実践とは、情報技術を活用しながら、自社のブランドミッションに沿った「おもてなし」の心と真摯な行動で、顧客と向き合い、心を通わせることではないだろうか。


【FOCUS PROJECT】
大手オフィス用品通販企業の一部としてクライアントと連携、通販事業の心臓部である納期管理、入庫管理、受注引当業務までを支援

単なる業務受託ではなく、クライアントの事業戦略やビジョンを理解・共有し、クライアントと一体となって目的達成を目指す。バーチャレクス・コンサルティングならではの高付加価値アウトソーシングを提供!


大手オフィス用品通販事業者である既存クライアント企業から、調達企画推進部門の業 務を受託したのは、一昨年春のことだった。派遣スタッフで処理していた業務を委託化したいとのご要望を受け、検討を始めた。当該業務は、弊社が以前から支援していた品切れ処理 のセンター業務と密接に関わるため、それらのスキルをもったスタッフを活用することにより、業務委託化への移行リスクを最小限に抑えられるという期待もあったようである。

具体的な業務内容は、カタログやウェブの全掲載商品をサプライヤーに発注する業務、配送期日までにきちんとお届けするための納期管理、在庫状況把握、入荷状況確認、入荷後の商品不備等の確認、返品・交換等 の処理といった業務である。

下図の通り、発注前の工程はクライアント企業の社員が行い、発注後の工程を弊社が業務受託者として担っている。通常のコンタクトセンター業務とは大きく異なり、サプライヤーへの発注や納期に関わる交渉も担い、各業務円滑に処理するスキルレベルが要求される。クライアント企業の在庫過多を回避する配慮、各サプライヤーの特徴を踏まえた適切な判断、希望納期までに商品を間に合わせるための機転と柔軟性といった要素を持った各スタッフの交渉力が重要となる。

委託開始から約1年8か月、派遣スタッフからの引き継ぎがないまま、手探りで立ち上げた業務の形がようやく見え始めた。今後の目標としては、属人的になりがちなサプライヤー対応において、サプライヤー個々の特徴をリスト化したカルテの整備を継続すると共に、業務単位の運営体制の構築・整備を予定している。これにより、個別作業のブラックボックス化の回避、担当業務を各メンバーが集中して作業する体制整備がなされ、クライアントの最大のニーズである生産性・効率性の向上、欠員リスクの回避が可能となる。引き続きクライアントの事業に全力で貢献し、更なる価値創出に努めていく。

■ 弊社が行う調達管理業務の範囲について
弊社が行う調達管理業務の範囲について