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【KEY NOTE】
動きのある映像/動画コンテンツが持つチカラ~動画がもたらすコミュニケーション形態の変化~

動きのある映像/動画コンテンツの活用がコミュニケーションサービスの形を変えていく


インターネットが生活の一部になって久しいが、ここ数年、動画コンテンツを目にすることが 著しく増えている。スマートフォンやパソコンで、ニュースなどの情報を確認するときも、買い物をするときも、ソーシャルメディアを使うときも、動画コンテンツが流れ、少々うっとうしいと思いながらも、多少興味があれば思わず見入ってしまう。

遠隔地との会議も、かつてはマイクスピーカーなどを使った電話会議が主流だったが、Skype、WebEx、ZoomなどのTV会議・Web会議が増え、相手の動きや表情などを見ながら、話をする機会が増えた。これらは、ハードウェアやネットワークの性能向上に伴い、動きのある映像/動画コンテンツが持つ効果を有効に活用する流れに他ならない。

人間は、元来、動くものに目を奪われやすい習性を持っているという。これは、敵から身を守るために、動くものに対して注意を払うという本能的な性質だそうだ。すなわち、動きのある映像には"注意を引く"という効果がある。

また動画には"情報を正確に伝える"という利点もある。例えば、文章を読んで調理方法を理解しようとするよりも、調理方法の動画を観るほうが早く正確に理解できる。また、研究によると、文章を読んだ場合の記憶定着率が10%であるのに対し、視聴覚に訴える動きのある映像の記憶定着率は20%と言われている。

このように、動きのある映像/動画コンテンツ には、注意を引きつけ、情報を正確に伝え、記憶に残らせる効果がある。こうした効果を狙い、ビジネスでの活用が積極的に進められており、特にマーケティング領域と研修・教育領域での活用は、改めて言うまでもなく、広がりを見せている。

マーケティング領域では、単に動画コンテンツを制作して流す、という段階を越え、より細やかに対応し、更なる効果を求める流れとなってい る。誰がどこまで観たのか、どの場面で停止し離れたのか、観た結果としてコンバージョンにつながったのか、といったデータを分析し、広告バナーなどの静止画コンテンツと同様、セグメント、時間帯、チャネルなどによって、背景の色彩やメッセージなどを出し分ける。あるいは顧客一人一人の情報をもとに、パーソナライズされた提案型の動画コンテンツを流す。こうした訴求力を高める活用が進みつつある。

研修・教育領域では、以前から動画コンテンツの利用が盛んであったが、現在は、遠隔研修教育やアクティブラーニングと組み合わせた形が広がりつつある。私たちが支援したプロジェクトでは、ウェアラブルカメラで作業中の手元を写し、それを録画しつつ、Web会議システムZoomで中継説明を行ったり、録画された動画コンテンツをZoomで共有し書き込みをしながらワークショップを行った。

こうした手法は、特に、技術指導や業務指導において大変高い効果が確認されており、ますます活用が進んでいくだろう。

こうした領域の他にも、動きのある映像/動画コンテンツを有効に活用できる場面は数多く存在する。言うなれば、これは、人と人とのコミュニケーション形態の変化であり、コミュニケーションが存在する領域すべてにおいて新しい変化をもたらすだろう。当社にとって馴染み深いカスタマーサポートの領域でも、スマートフォンの利用が前提になりつつある中、操作説明やトラブルシューティングとして動画コンテンツを提供したり、スマートフォンのカメラで問題の状況を映してもらい、それを見ながらサポートする、といった事例が増えつつある。こうした動向を踏まえ、私たちも顧客企業とともに新しい形のコミュニケーションサービスを模索していきたい。

[執筆者]
執行役員
辻 大志(つじ たいし)

【FOCUS PROJECT】
Nikon(ニコン)ブランドの新たな顧客提供価値創造の一助となるカスタマーサポート部門、CRMソフト「インスピーリ」を活用!

圧倒的なブランド力に慢心することなく、近年、グループ全体で顧客提供価値の創造に取り組む大手カメラメーカー「Nikon」。そのカスタマーサポートを担当するグループ会社、ニコンイメージングジャパン様の顧客満足度向上に向けた取り組みのひとつとなったCRMリプレイス事例を紹介。


株式会社ニコンイメージングジャパン(以下 NIJ様)のカスタマーサポート部門は、Nikonが提供する製品やサービスへの問い合わせ、故障時の修理依頼など様々な対応を行っている。 その数は、一日数百件に及び、コールリーズンは一定ではなく、主力製品のカメラ一つをとっても過去製品を含めると多岐に渡るため、問い合わせ内容も多様である。全社を挙げてマーケティング活動の活性化を促進する中、今後のオムニチャネル化を視野に入れると既存の CRMシステムではすでに限界があったため、システムのリプレイスに踏み切った。主な改善点は「拡張性の担保」、「機能性やデータ不足の補填」、「生産性の向上」の三点(詳細は下図参照)。そして使い勝手の良さ、拡張性がカスタマーサポートの現場で高く評価され、当社のインスピーリ導入が決定した。加えて、希望の納期に対応できること、コールセンター運営ノウハウを持った当社ならではの、より具体的なシステム改善案であったことも、インスピーリ採用の大きな決め手になったという。

導入後、機能面では以前と比較するとかなり充実したようだ。業務にあわせて必要項目を追加・編集するなど現場でカスタマイズが可能なことや、一度のコール対応でクレーム、問い合わせ、修理依頼など、コールリーズンごとに履歴入力を分けられる画面構成がシンプルであることで、生産性が著しく向上したという。

また、これまでは「オペレーションのためだけのシステム」だったものが、データを蓄積、分析できるようになり、それをどのように活用していこうかというセンター内の発想の転換に寄与したことも収穫であるという。

更にFAQや、テンプレート、掲示板などオペレーター向け支援機能の充実、CTIとの連携や、過去問い合わせの検索速度の速さなどが、オペレーターの対応品質向上につながり、顧客とオペレーター双方のストレスを軽減したようだ。

そして、当社のCRM構築に特化した経験値、提案時からシステム導入後のメンテナンスまでの対応の手厚さ、システム構築時のプロジェクトマネジャーがその後の保守や、追加カスタマイズを引き続き担当したことなどについて、システムベンダーとして非常に高い信頼感を寄せることができたと評価いただいた。

製品を販売して終わりではなく、サポート体制を強化していきたいため、オムニチャネル化を意識し、SMS(ショートメッセージサービス)を活用してウェブサイトの詳細情報に誘導することや、将来的には、LINEやチャットサポートの検討もしているという。
システム提供だけなく、CRM領域のコンサル ティングも手掛ける当社では、今後もNIJ様のこ のような取り組みを全力で支援していく。

インスピーリ導入後の改善点
インスピーリ導入後の改善点

[執筆者]
ビジネスインキュベーション&コンサルティング部
齋藤 章子(さいとう ゆきこ)