infinity

インフィニティvol14

Vol.14 2016年10月14日発行

目次:

  1. KEY NOTE: デジタルマーケティングの4I~デジタルマーケティングの実践における4つのポイント~
  2. MANAGEMENT VIEW:顧客接点は、どのように進化していくのだろうか
  3. FOCUS PROJECT:医療の現場で患者様に新しい医療機器のスムーズな利用を支援、センター運営で培われた非対面接客の経験を対面接客にも活用!
  4. RECOMMENDATION:『MBA流 チームが勝手に結果を出す仕組み』 若林 計志 (著)

PDF版ダウンロードはこちら

【KEY NOTE】
デジタルマーケティングの 4I~デジタルマーケティングの実践における4つのポイント~

4Pや4Cといったマーケティングのフレームワークがこれまでにもあったが、デジタルマーケティングの4Iとはどのようなものか


マーケティング戦略の検討においては、そのフレームワークとして、昔から4Pがある。改めて言うまでもないが、4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Promotion(販売促進)、Place(流通)であり、マーケティングミックスの重要性が説かれた。時代が変わり、企業側の目線ではなく、消費者側の目線で捉えるべきと考えられるようになると、4Cが謳われた。これは、Consumer(消費者)、Cost(コスト)、Communication(コミュニケーション)、Convenience(利便性)から成り立つフレームワークである。

さらに、ブログやSNSの広がりによって、消費者の情報発信力が増すと、消費者や顧客との間に、共創互恵関係を作るべきと語られるようになり、新たな4Cが謳われるようになった。新たな4Cにはいくつかの見解があるが、弊社は、過去のセミナー等において、Context(物語)、Customer Experience(顧客経験)、Collaboration(協働)、Channel/Community(チャネル/コミュニティ)という4Cを提示している。

時代の流れの中で変遷はあるものの、いずれも重要であり、マーケティング戦略を検討する上で示唆を与えてくれるフレームワークであるが、スマホの普及等によりデジタル環境で過ごすことが増えた現在の消費者行動を踏まえ、これまでの4Pや4Cとは異なる観点の、新しい考え方が紹介されるようになっている 。これもまたいくつかの見解があるが、ここでは4Iと言われるコンセプトを紹介したい。

4Iは、デジタルマーケティングにおける重要な観点として提示されており、Identity、Interoperability、Incrementality、Insightsの4つから成る。

Identityは、インターネット上で同一人物(ブラウザ)を特定することを指しており、オーディエンスデータを統合するCookie Syncなどの仕組みを意味している。これを如何に活用し、パーソナライズされた消費者体験を広く効果的に演出するかが重要ということである。

Interoperabilityは、相互接続性を指しており、一連のマーケティング活動のデータがサイト間、企業間、チャネル間でシームレスに連携できることを意味している。効果的なデジタルマーケティングを進めていく上では、相互接続性が不可欠な要素となるため、その対応が重要ということである。

Incrementalityは、消費者体験を作り出す一連のシナリオに沿って、メッセージがさりげなく少 しずつ届けられ、コンバージョンという行動変化に誘っていくことを意味している。適切なタイミングで、適切なチャネルで、適切なコンテンツを届け 、それを少しずつ積み重ねることによって、本来の成果や効果を得ることが企図されねばならないということである。

Insightsは、マーケティングでよく語られる"顧客インサイト"の類いではなく、 如何にしてそ れぞれのアクションの効果を把握するかというアトリビューション分析等の重要さを意味している。これがない限り、継続的に効果的なアクションを取ることはできないため、その対応が重要ということである。

先に述べたとおり、4Iは、デジタルマーケティングにおける重要な観点を示しており、4Pや4Cがコンセプトレベルなのに対して、実践レベルで整理されている。すなわち、4Iは、4Pや4Cで整理されたコンセプトを、エンジニアリングやオペレーションを駆使して、デジタルマーケティングとして実現・運営する段階での重要なポイントとなっているのである。こうした整理は、ともすると、教科書的な枠組みとしてだけの利用に留まってしまう。これを意味ある形に仕立てていくのは、実践と向き合う我々の役割である。


【FOCUS PROJECT】
医療の現場で患者様に新しい医療機器のスムーズな利用を支援、センター運営で培われた非対面接客の経験を対面接客にも活用!

高齢化に伴い、医療の現場では日々多忙を極めている。そのような中、バーチャレクス・コンサルティングではコンタクトセンター運営で培われたホスピタリティとヒヤリング力を活かし、在宅治療を支える医療機器メーカー様の営業サポートとして、病院などの医療機関とその患者様を支援している。


患者様の自宅での治療を支えるため、様々な医療機器が存在する。なんらかの理由で、使用中のものから新しい機器への切り替えが発生する場合、病院などの医療機関には説明の負担がかり、患者様には、初めて利用する医療機器への不安やもう一度使い方を修得しなければならないという負担がかかる。

今回はそのようなケースで当社BPOチームがご支援可能な領域についてご紹介したい。

新しい医療機器への切り替えの際、医療法の制限で、初回の説明は病院側に課せられるものの、その後の継続利用のための支援は医療機器メーカーの役割となる。患者様に「なぜ新しい医療機器に切り替えたかを説明し、十分納得していただいた上で、自宅に持ち帰られた後も、きちんと継続使用できるようにするための支援」を各医療機器メーカー様の営業サポートとして、当社が請け負っている。

本業務は、某医療機器メーカー様から「今、業務を委託している業者への、患者様からの評判が芳しくなく、取引先の病院からクレームが多いので御社で代りに営業サポートを請け負っていただけないか?」と持ちかけられたことがきっかけであった。

まずは実際に医療現場に足を運び、どのような対応が発生するのかを見学し、手順を紙に落とし込んでいった。病院ごとに説明手順が異なるので、統一した手順が存在しないためである。手順を統一し、候補となる人材に一貫した訓練を行い、実務に臨んだ。業務を行う医療機関は全国に散在し、特殊業務のため、代替えが難しいことや、医療機関への派遣なので風邪をひかないなど、スタッフの健康管理も必須となる。決して簡単なことではない。また医療メーカー様の医療機関への営業が成功し ないと、本業務は発生しないので、空き時間は営業事務の支援を行うなど工夫も必要だ。しかし、当 社のコンタクトセンター運営で培ったホスピタリティや「お客様が何を求めているのか? 何にお困りなのか?どうサポートすれば解決するか?」といった、相手側に立ったサービス提供能力、未整理の作業を整理し、誰でもできるような作業に変換するという能力が大いに役立ち、今のところ患者様や医療機関の評判も上々のようである。「非対面接客から対面接客への転換」を果たしたプロジェクトとなった。

今後もこのように、コンタクトセンターといった非対面領域だけでなく、様々な方面にBPOサービスの活用範囲を広げていきたい。

■ 医療機器の入れ替えから当社によるサポートまでの流れ
医療機器の入れ替えから当社によるサポートまでの流れ