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Vol.17 2017年7月14日発行

目次:

  1. KEY NOTE: 「効率性」から「生産性」へ~次に求められる価値創造に向けて~
  2. MANAGEMENT VIEW:設立記念日
  3. FOCUS PROJECT:英語力をフル活用!パーキンエルマー社提供のソフトウェア「ChemDraw(ケムドロー)」販売業務支援!
  4. RECOMMENDATION:『伝え方が9割』佐々木圭一:著/ダイヤモンド社:出版

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【KEY NOTE】
「効率性」から「生産性」へ~次に求められる価値創造に向けて~

人口減少・少子高齢化の中で「生産性」の向上が謳われている
「効率性」ではなく「生産性」を求めることの意味は何か


去る6月9日、政府は臨時閣議にて、今年の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太の方針」を決定した。サブタイトルには、~人材への投資を通じた生産性向上~とあり、これを改革の中心に据えるとしている。第二次安倍政権発足以来4年半、「生産性」という言葉が再三、使われている。

ここ数年、政府のみならず、産業界においても「生産性」という言葉がより多く使われるようになっているが、従前より、同じようによく使われている言葉として「効率性」がある。この2つの言葉の違いは実に興味深く、私たちがビジネスにおいて今考えねばならない点を示している。

「効率性」とは、経済学において、資源・財の配分について無駄のないことを意味する。一方、「生産性」とは、経済学において、生産活動に対する生産要素(労働や資本など)の寄与度、あるいは資源から付加価値を産み出す際の効率の程度のことを意味する。つまり、これは似て非なるもの、否、まったくレベルが異なるものと言っても過言ではない。「効率性」を上げても「生産性」が向上するとは限らないが、「生産性」の向上には「効率性」を上げることが必須であり、かつそこには価値が産み出されなければならない。これはまったく異なる。

それでは、なぜ、○○の"効率化"というビジネス課題が多く掲げられるのだろうか。思うに、これは、すでに計画値や予算値が存在し、それを如何に上手に無駄なく運営するのかが重要であったからであろう。製造現場には、生産計画があり、それを"効率的"に実現することが求められる。オペレーション現場には、SLA(Service Level Agreement / サービス水準合意)があり、それを"効率的"に実現することが求められる。換言すると、結果あるいは成果の枠組みが与えられ、それに対して、どのように上手に無駄なくできるかが図られてきた、ということだ。今後強く求められる「生産性」は、これに更なる結果、成果、価値を産み出すことが求められているのである。

昨今、AIやIoT等の活用が多くの企業にとって重要なテーマとなっており、様々な試みが進められている。しかし、そのほとんどの例が「効率性」という観点で注目されているのではなかろうか。これまで人間がやってきたことを置き換える、これまで人手が足りずコストに見合わなかったことをシステムが実行する。これらは果たして「生産性」という観点で、十分な結果、成果、価値を産み出していると言えるだろうか。次に求められている価値創造に応えられているだろうか。こうした視点を持つべきように思う。

先日、書籍「日本再生は、生産性向上しかない!」を発行したデービッド・アトキンソン氏の講演を拝聴し、直接、意見を伺う機会に恵まれた。「日本企業は高度成長期の成功体験や昭和の常識に縛られている。生産性を重視する意識改革が必要だ。特にサービス産業はこれが喫緊の課題だ。」という趣旨の言葉を伺った。私は、サービス産業のみならず、サービスに係る業務も同じだ、と捉えた。

当社も、顧客企業のサービスの一端を担い、ビジネスサービスを事業として営む企業である。顧客企業とともに「生産性」と正面から向き合い、実践することを改めて考えていきたい。

[執筆者]
執行役員 兼
ネクストバリュークリエイション事業本部 本部長
辻 大志(つじ たいし)

【FOCUS PROJECT】
英語力をフル活用!パーキンエルマー社提供のソフトウェア「ChemDraw( ケムドロー)」販売業務支援!

世界各国で幅広く利用されている化学構造式のドローイングソフト「ChemDraw(以下、ケムドロー)」、当社ではそのアジア太平洋地域の販売業務の一部を立ち上げ当初から担っている。


化学構造式ドローイングソフト「ケムドロー」は世界各国の様々な研究機関、大学などの教育機関で幅広く利用されている。そのアジア太平洋地域の販売支援拠点の一部として、日本でのヘルプデスク立ち上げの依頼を当社がお引き受けしたのは、実に2005年に遡る。

そこから現在に至るまで13年間、一般的な問い合わせ対応、受注作業、アクティベーション*、そしてメールや電話によるアウトバウンドまでを一括して、英語と日本語で行っている。

アウトバウンドについては二通りの方法で行っている。クライアント様からアサインされたセールスリードに対して架電やメールを行う方法と、独自に支援地域の研究機関、教育機関を調査、未導入の機関をリストアップし、一件一件責任者宛てに架電を行う方法だ。

日本語でこれらの業務を行うことでさえ、煩瑣であるが、オペレーターのほとんどが母国語ではない「英語」で業務をこなさなければならず、採用活動、そしてその後の人材育成は一筋縄ではいかない。話す・聞く・書く・読むといった基本的な英語能力はもちろんのこと、業務や勤務環境への適応性や、複数業務を同時にこなす柔軟性や処理能力も問われる。

また、オーストラリア、ニュージーランドを除くと、支援地域のほとんどが、英語を母国語としていないという事情もあり、正確なコミュニケーションが取り辛いという精神的な負担も生ずる。

単に語学が堪能というだけでは不十分で、オペレーターとしての技能、円滑なコミュニケーションを行うための人間性も養う必要がある。

そのため、採用後の研修は細かく多岐に渡り、一通り終了するまでは約2カ月半、初期研修期間を過ぎても約1年程度は、スーパーバイザーによるメールレビュー、電話リアルモニタリング等のフォローを手厚く行う。その他、月1回の面談実施や、定期的なTC評価、フィードバック面談、希望や状況に応じて追加で話し合いの場を持つなど、チーム内でのコミュニケーションも密に行っている。

クライアント様からの当社への信頼も厚く、時にはクライアント様ご自身が当社チームをヘルプデスクとして活用されている。今後も長年の業務経験を活かし、支援領域の拡大を図りたい考えである。

(*アクティベーションとは、ソフトウェアをインストールした後、利用開始前に正規のライセンスを保持していることを確認するために行われる認証処理。)

■ 本プロジェクトにおける支援地域

infini_17_pf_image.jpgのサムネイル画像 [執筆者]
ネクストバリュークリエイション事業本部
齋藤 章子(さいとう ゆきこ)