ニュース調査

2021.07.19

【2021年カスタマーサクセスに関する実態調査】半数は「効果感じている」も、人材・組織体制や経営者理解への"壁"

効果体感できない理由は"カスタマ―サクセス0.0"フェーズでの躓きか

~バーチャレクスとアイティクラウドによる実態調査、2021年版第二弾結果~



バーチャレクス・コンサルティングは、クラウドサービス・ソフトウェアのレビュープラットフォーム「ITreview」を提供するアイティクラウド株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:黒野源太、以下、アイティクラウド)と合同で実施した2021年版カスタマーサクセスに関する実態調査につきまして、前回の第一弾に引き続き第二弾の結果を取りまとめました。


第一弾調査結果ハイライト

対象:全国の20代から60代の有職者24,274人

  • 「カスタマーサクセスとは何かをよく知っている人(=認知度)」は全体の9で、3年連続4%未満
  • 「カスタマーサクセス」という言葉を聞いた事すらないという人は全体の0%
  • 「カスタマーサクセスに取り組んでいる部署/担当者がある/いる」割合は昨年と変わらず50%
  • 外資系企業での取り組み率は2%と昨年よりやや増加、日系企業では「必要性を感じている」人の割合が微増
  • 従業員規模別では100名以下の企業および10,000人以上の企業において取り組んでいる企業が増加、それ以外では減少
  • カスタマ―サクセスに対する上層部の意識は年々向上、少しずつだが重要性を認識しつつあると推察


第二弾調査結果概要

前回の調査対象である24,274人の中で、カスタマーサクセスを「自身が担当している/社内に取り組んでいる部署、または担当者がおり、自身もかかわっている」と答えた500に対し、カスタマーサクセスに関する取り組みについての調査を行いました。

取り組み企業の半数は「効果を感じている」ものの、「どちらとも言えない」割合が昨年より微増

カスタマーサクセス取り組みの効果としては、半数以上の人が「感じている」と回答している一方で、35.6%の人は「どちらとも言えない」と感じており、昨年の32.2%よりわずかに増加していることがわかりました。

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取り組み体制別で効果の感じ方を見てみると、専業で取り組んでいる人たちの6割強、専業でない人たちでも半数以上の人が「効果を感じている」と回答しています。

#2-02_CS_koka_byorganization.pngまた、「効果を感じている」と回答した人たちの取り組み年数を見てみると、各層においてほぼ55%の割合、2年以上4年未満の層は他よりも少し高い6割強の人たちが効果を感じています。昨年にも同様の結果が出ていましたが、半年~1年程度の短い期間での取り組みにおいても半数以上の人が効果を感じることができているというのは、カスタマーサクセスに関連する情報や参考にできるような事例などが年々増えてきていることも影響しているかもしれません。

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しかし一方で、体制や取り組み年数に関わらず、各層において3割強の人たちは「どちらとも言えない」と答えていることから、ある程度カスタマ―サクセスの取り組みに時間とリソースを投資をしたにもかかわらず、残念ながら効果を感じられていない企業も少なくないということがわかります。

効果体感の壁①カスタマ―サクセス担当者の前に立ちはだかる「組織課題」

ではなぜ効果が体感できない企業が少なくないのか。カスタマ―サクセスを運用していくにあたっての現状の課題を聞いたところ、一番多かったのは「人材・組織体制が不十分」で22.6%、次いで「経営層/上層部の理解が得られない」が20.2%と、少なくとも約2割の人が組織に関する課題を抱えていることがわかりました。

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本結果を、各企業のカスタマサクセス取り組み期間別で見た場合、この2つの項目についてはいずれの層においても上位3項目に上がってきており、長く取り組みを続けていくことで自然と解決されるものというわけではなく、担当者を悩ませている課題であるということが浮き彫りになりました。また2年以上、さらには4年以上取り組みを続けているにもかかわらず「やっていることが正解なのかわからない」と感じている人も多く、試行錯誤を繰り返しながら取り組みを進めていることがうかがえます。

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ちなみに、「効果を感じている」人に対して、「最初の頃は障害であったが今は解決している課題」は何かを聞いてみると、少なくとも3割の人が人材・組織体制に関してと、経営層/上層部からの理解に関する課題を挙げており、取り組みの効果を出すためにも早期に解決すべき重要な要素であることがわかります。

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効果体感の壁②"カスタマ―サクセス0.0"フェーズでの躓き

続いて、カスタマーサクセスを実践する上で、一般的に実務として最初に取り組むべきと考えられていることの一つがKGIKPI、ヘルススコアの設定です。トップダウンか現場発かはさておき、カスタマーサクセスを推進することは決定。自社にとってのカスタマーサクセスとは何なのか。なんのためにカスタマーサクセスに取り組むのか。その目的・ゴールの達成状況をどのように測定するのか。その前段として、日々の顧客の契約・利活用状況をどう明らかにするのか。こういった準備・検討を進めるフェーズは、いわば"カスタマ―サクセス0.0"とも呼ぶべき段階であり、この段階を突破できているかどうかで、効果の感じ方に差が出ていることが以下のグラフから推察されます。効果を感じている人ほど、KPIKGI、ヘルススコア項目の設定、さらにはその運用の仕方についての課題が既に解決できているということがわかります。

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さらに、成果指標として定めているKPI項目を尋ねてみたところ、効果を感じていない人・どちらとも言えない人それぞれの半数以上が、「特に定めていない」ということがわかりました。数字で顧客を把握することはカスタマーサクセスの10原則にも含まれており、顧客の事業を成功導くためには欠かせませんが、こういった指標の設定や運用の難しさが、カスタマーサクセス効果の創出にも影響しているのかもしれません。

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ARPU= Average Revenue Per User(1ユーザーあたりの平均的売り上げ)
※MRR=Monthly Recurring Revenue(月間の定額収益)
※ARR=Annual Recurring Revenue(年間経常収益)

カスタマ―サクセスの「業務」に取り組み始める前に、できれば全社方針合わせを

第一弾の調査で(https://www.virtualex.co.jp/news/2021/06/2021CS-research-1.html)、企業上層部のカスタマーサクセスに対する重要性が年々認識されつつあるという結果が出ましたが、実際に取り組みを進めている企業において、まだ上層部の理解が得られていないケースがあるという実態が見えてきました。これは組織全体で大きく取り組む会社の方針としての「大きなカスタマーサクセス」を掲げる前に、現場におけるオペレーション・仕組みとしての「小さなカスタマーサクセス」を進めてしまっているという可能性が考えられます。今年に関しては新型コロナウイルス感染拡大の影響も一部考えられますが、カスタマーサクセスの取り組みは、単純に専任の担当者や部署を置いたり、人数を増やしたり、長く続けていったり、ということだけで自然と結果に繋がるものではないということが、改めて今回の調査でわかりました。カスタマーサクセスの取り組みを導入する前に、経営陣がカスタマーサクセスの必要性・重要性を理解しておくことが理想形ではありますが、現実問題はなかなか難しいところもあるでしょう。その場合は現場レベルでの取り組みにおいて「小さな成功事例」を作り、それを経営陣共有していきつつ意識改革を進めて行くのもよいでしょう。社内における意識齟齬を無くして一丸となって進めて行く経営哲学としての「真のカスタマーサクセス」に取り組んで行ける企業が、今後国内で増えていくことが期待されます。

バーチャレクスとアイティクラウドは引き続き、「カスタマーサクセス」の啓蒙と、これから取り組んでいく、あるいはさらに深化させていく、という企業様のサポートを行ってまいります。また、本調査においては近日第三弾結果を公開する予定です。また、バーチャレクスでは企業様のカスタマーサクセス導入や運用をサポートする様々なサービスを提供しています。

  • ワークショップ(経営者様向け/社員様向け等、カスタマーサクセスについての理解促進をサポート)
  • コンサルティングサービス(ショット/スポット型でのレビューや戦略立案等)
  • テクノロジーサービス(ツールやデータプラットフォームの導入/構築や利活用支援)
  • オペレーションサービス(カスタマーサクセスプロセス伴走支援)

また下記サービスを無料でご提供しています。

詳しくはこちらをご覧ください。

参考:『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』


【調査実施概要】
2021年カスタマーサクセスに関する調査」
・調査方法  :インターネットアンケート
・調査実施期間:2021219日~2021222
・対象地域  :全国
・対象者   :20代から 60代の有職者(パート・アルバイト、専業主婦・主夫、学生を除く)24,274


アイティクラウド株式会社について
アイティクラウド株式会社は、IT製品のレビューメディア事業展開を目的とし、SB C&S株式会社とアイティメディア株式会社の合弁会社として2018年4月に設立しました。「IT選びに、革新と確信を」をミッションにかかげ、企業がテクノロジーを活用する上で必要となる"信頼できる声"や"確かな情報"の集まる場である「ITreview」を同年10月に開設。リアルユーザーの製品レビューを収集・掲載することで、IT選定の透明性を高め、迅速で自信に溢れた意思決定のできる世界の実現を目指しています。

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