ニュース調査

2020.06.16

【2020年カスタマーサクセスに関する実態調査】必要性を感じていない理由は「メリットがわからない」、 必要だと感じている人の行く手を阻むのは「人材・組織体制問題」

バーチャレクスとアイティクラウドによる実態調査、2020年版第三弾結果~


バーチャレクス・コンサルティングは、先だってアイティクラウド株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:黒野源太、以下、アイティクラウド)と共同で実施したカスタマーサクセスに関する実態調査につきまして、第一弾、第二弾に引き続き、今回第三弾の結果を取りまとめました。


第一弾調査結果ハイライト

  • 「カスタマーサクセスをよく知っている人」は全体の3.5%で、2019年調査時からほぼ変わらず
  • 「カスタマーサクセスに取り組んでいる部署/担当者がある/いる」割合は昨年より倍増
  • 外資系企業では取り組み企業が8割、日系企業では「必要性を感じていない人」の割合が増加
  • 従業員規模別では企業の大小問わず全体的に取り組み企業が昨年より増加
  • カスタマーサクセス認知経路の多くはWEBよりも新聞、雑誌、本など能動的に取りに行く必要がある媒体

【2020年カスタマーサクセスに関する実態調査】「カスタマーサクセス」の認知率は3.5%、昨年からほぼ変わらず 広がりつつある「取り組み企業」と「知見ない企業」との"CS格差"


第二弾調査結果ハイライト

「自身が担当している/社内に取り組んでいる部署、または担当者がおり、自身もかかわっている」500人対象

  • 「取り組むにあたっての障壁であったが今は解決している」項目が昨年より大幅に増加、手探りで始めた人たちが少しずつやるべきことを見出して運用を軌道に乗せつつある
  • 「取り組みを進めていくにあたっての障壁となっている」ものは人材・組織や社内理解についての課題
  • イベントやコミュニティ活動への参加は昨年比で減少傾向、自身だけ/社内だけで取り組みを進めていくことが難しくなったのか、外部専門家のサポートを活用している人が増加
  • 取り組み1年以内で6割近くの人が効果を感じているものの、経営哲学としての「真のカスタマーサクセス」はまだまだ浸透しきっていない

【2020年カスタマーサクセスに関する実態調査】専任担当者昨年より増加、取り組み1年未満でも「効果感じる」も人材や組織体制にまだまだ課題


第三弾調査結果概要

第一弾の調査対象である21,526人の中で、①「今は取り組んでいる部署、または担当者はいないが、必要性を感じている(n=250)」、②「取り組んでいる部署、または担当者はおらず、今後も取り組む予定はない、かつ必要性も感じていない(n=250)」と答えた計500人に対し、カスタマーサクセスに関する取り組みについての調査を行いました。

必要だと感じていても、立ちはだかる人材・組織問題

まず①の「必要性を感じている」対象者に「カスタマーサクセスの取り組みをこれから開始していくことになった場合、不安や課題になりえそうなこと」は何かを聞いたところ、4割近くの人が「人材・組織体制が不十分」と回答しました。これは昨年同様一番割合が高く、多くの企業で「始められないハードル」となっていることがわかります。「進め方や相談する人がいない(23.6%)」、「経営層/上層部の理解が得られない(16.8%)」といった項目も昨年より増えており、担当者レベルではなく企業レベルで「カスタマーサクセスが必要」という判断をしないと、取り組み開始に繋がらない可能性を示唆する結果となりました。

3-1_これから課題になりそうなこと.png

また、将来的にカスタマーサクセスに取り組んでいきたいと考え、そのために今何か取り組んでいることがあるかを聞いたところ、約半数の人が「特に何もしていない」と回答しました。

3-2_必要性を感じて取り組んでいること.png

昨年よりもセミナー・勉強会への参加、記事や事例などで情報収集していた人の割合が全体的に減少し、カスタマーサクセスの必要性を感じながらも、特に自発的に取り組んでいることは何もないという人が目立つ結果となりました。これは言い換えると、取り組みを始めるにあたって考えうる障壁がプラクティカルなものではなく、組織や人材に関わることに起因するため、その部分を解決する術がなかなか見つからずに悩んでいる人が多いと言えるかもしれません。

「メリットを感じないから必要ない」本質が理解されていない証拠?

次に、②の「必要性を感じていない」層に対して、なぜカスタマーサクセスの必要性を感じないのかを聞いたところ、「いまいちメリットが感じられない」と答えた人が36.5%と一番多く、次に「そもそもカスタマーサクセスに対しての理解が深くなく、ぼんやりとしている」人が約4分の1という結果になりました。

3-3_必要性を感じない理由.png

カスタマーサクセスがどういうものかを一応知っているものの、メリットだと感じるまでの本質的な部分の理解が追いつかず、結果必要性を感じない、という流れになっている可能性があります。

一部上層部が興味を持つも、現場は「コストの無駄」

なお、「社内でカスタマーサクセスの話題が出ることがありますか?」と尋ねたところ、「ない」と答えた人は77.2%、22.8%の人が「ある」と答えました。

3-4_社内でCSの話題が出ますか.png

その中で「経営陣がカスタマーサクセスについて話すことがある」という人の36.8%が「いまいちメリットが感じられない」と回答、「部長・課長クラスがカスタマーサクセスについて話すことがある」、「社内にてカスタマーサクセスのセミナー受講を奨励されることがある」という人の4割以上が「カスタマーサクセスに人員を割くなら、他にもっとやるべきことがある」と答えるなど、経営・上層部側でたとえ意向・興味があったとしても、現場レベルでは「必要ない」と感じている人が一定数いることが明らかになりました。

3-5_カスタマーサクセスが必要とないと思う理由.png


また、「必要性を感じない理由」について、日系企業勤務、外資企業勤務の回答傾向を比較した場合、外資系企業に勤めている人は人材配置という観点でカスタマーサクセスの優先順位が高くない、今のままで営業効率・顧客満足が高いので必要ない、という「カスタマーサクセスを理解したうえで、現状必要性を感じない」という印象を受ける一方、日系企業に勤めている人は「メリットを感じない」、「コスト」だから無駄、というような考え方の違いがみられました。

3-6_資本別必要性を感じない理由.png

必要ないという考えでも、一部カスタマーサクセスに通ずる業務は行っている

さらに、この層に対してカスタマーサクセスに必要と言われている主な業務・アクションを切り出して「あなたの勤務先で取り組んでいるものはありますか?」と尋ねたところ、2~3割の人が「顧客リストを作っている」、「顧客との取引状況を把握している」、「顧客との接触状況を常に管理している」と回答しました。約4割の人が、上げられた項目についての取り組みを行っていないと回答しているものの、いわゆるヘルススコアの管理や、チャーン防止の施策、チャーンの理由把握などを行っている人も1割弱ですがあることがわかりました。

3-7_(必要性を感じていない人)勤務先で取り組んでいるもの.png

つまり「カスタマーサクセス」という概念のもとで業務を行っているわけではなく、かつカスタマーサクセスなど必要ない、と思っている人でも、カスタマーサクセスに通ずる業務を実践している、という実情が伺えます。これら各業務を点ではなく「顧客の成功のため」という線で繋げることで、自社の成長・成功につながる可能性があることを、この層の多くの人はまだ気づいていないとも言えます。もしくは、単純にそれぞれの企業にとっての「カスタマーサクセスとは?」という定義の違いなのかもしれません。

「カスタマーサクセスとは?」この概念に関する一般的・普遍的な共通見解がなく、曖昧に捉えている人が多いがゆえ、認知拡大・普及を阻んでいることが考えられます。バーチャレクスとアイティクラウドは、ここをもう一歩踏み込んだ調査を行ったうえで、国内でのカスタマーサクセス啓蒙活動およびサポート業務を引き続き行ってまいります。また、本調査においては追って第四弾結果を公開する予定です。


参考:『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』


【調査実施概要】
「2020年カスタマーサクセスに関する調査」
・調査方法  :インターネットアンケート
・調査実施期間:2020年3月25日~2020年3月30日
・対象地域  :全国
・対象者   :20代から 60代の有職者(パート・アルバイト、専業主婦・主夫、学生を除く)21,526人

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アイティクラウド株式会社は、IT製品のレビューメディア事業展開を目的とし、SB C&S株式会社とアイティメディア株式会社の合弁会社として2018年4月に設立しました。「IT選びに、革新と確信を」をミッションにかかげ、企業がテクノロジーを活用する上で必要となる"信頼できる声"や"確かな情報"の集まる場である「ITreview」を同年10月に開設。リアルユーザーの製品レビューを収集・掲載することで、IT選定の透明性を高め、迅速で自信に溢れた意思決定のできる世界の実現を目指しています。

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