ニュース調査

2019.06.27

【カスタマーサクセスに関する実態調査】カスタマーサクセス取り組みの必要性は"時代の流れ"、 とりあえず着手が成功のカギ?

~バーチャレクスとアイティクラウドによる実態調査、第三弾結果~


日本においては、2018年後半からサブスクリプションという言葉が広がり、今年に入ってからも様々な分野でサブスクリプション型のサービスが立ち上がっています。企業にとってサブスクリプションビジネスを成功させるためには必ず取り組まなければならないカスタマーサクセス。米国では浸透しつつある取り組みですが、日本においても「カスタマーサクセスの波」がやってくるのは時間の問題であると言えるでしょう。

バーチャレクス・コンサルティングは、先だってアイティクラウド株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:黒野源太、以下、アイティクラウド)と合同で実施したカスタマーサクセスに関する実態調査につきまして、第一弾第二弾に引き続き第三弾の結果を取りまとめました。

第一弾の調査においてカスタマーサクセスを「よく知っている」「少し知っている」と回答した2,963人の中で、勤務先の状況が以下に当てはまる1,000人に対して、カスタマーサクセスに関する取り組みについての調査を行いました。

グループ①:今は取り組んでいる部署、または担当者はいないが、今後は取り組む予定(n=333)
グループ②:今は取り組んでいる部署、または担当者はいないが、必要性を感じている(n=333)
グループ③:取り組んでいる部署、または担当者がいる(n=334)


①今回の調査対象.jpg

グループ①、グループ②を対象にした前回の調査では、これからカスタマーサクセスの取り組みを始めていこうとしている企業の不安や課題が浮き彫りになりました。今回はグループ③の人を対象に、社内のカスタマーサクセスに関する取り組み状況や課題など、既に取り組みが進んでいる企業の実態を調査しました。

まず「勤務先でカスタマーサクセスに取り組んでいる部署、または担当者がいる」に当てはまる人に「勤務先の『カスタマーサクセス』取り組みに向けての体制」について聞いたところ、約半数近く(45.2%)がカスタマーサクセス専業の担当者/部署がいる/あると回答しました。また専業ではないが、カスタマーサクセスの担当者/部署がいる/あると回答した人たちも43.8%と、兼業/専業でカスタマーサクセスに取り組んでいる企業はほぼ同比率でした。


②勤務先の『カスタマーサクセス』取組みに向けての体制.jpgまた、カスタマーサクセス担当者が専業ではない企業においては、担当者が「管理部門に所属している(21.0%)」、「営業部門に所属している(19.7%)」、「カスタマーサポート部門に所属している(17.3%)」、「マーケティング部に所属している(15.9%)」、「製品開発部門の所属している(7.0%)。また、「専業ではないがカスタマーサクセスを兼任している部署」で一番多かったのがカスタマーサポート部門で26.5%、次いで営業部22.0%、マーケティング部門16.7%が続く結果となり、企業によってカスタマーサクセスの位置づけが様々であることがわかるとともに、カスタマーサクセスとは、様々な部門のナレッジやスキルの必要性を示唆する結果となりました。


③専業ではないが『カスタマーサクセス』の担当部署がある.jpg ④専業ではないが『カスタマーサクセス』の担当者がいる.jpg


次に、「取り組みむにあたっての障壁であったが今は解決している」ことは何かを尋ねたところ、23.1%と一番多かったのは「何から手をつけたらいいのかわからない」という回答でした。


⑤取り組むにあたっての障壁であったが今は解決している.jpg「運用していくにあたって解決すべく取り組んでいる」ものでは「対顧客のKPIをどう運用していったらよいのかわからない(23.4%)」、「人材・組織体制が不十分(21.9%)」、「対顧客のKPI/KGIをどう設定したらよいのかわからない(21.6%)」といった回答をはじめ、カスタマーサクセスの取り組みが始まっている段階においては、取り組みみの指針や成果となる指標や数値の設定・運用に関してや、組織内の体制に関する課題解決のために取り組んでいる状態の人が多いということがわかりました。


⑥運用していくにあたって解決すべく取り組んでいる.jpg

「取り組みを進めていくにあたっての障壁となっている」ものとしては「顧客のセグメント化が難しい(15.0%)」、「各顧客のセグメントに対するアクションの定義づけが難しい(13.5%)」など、一定具体的な取り組みが進んでいる段階では、継続的にPDCAを回していくにあたっての基準作りともいえるひとつ上のフェーズで悩んでいる担当者が多いものの、全体で見たところでは障壁を抱えている人の割合が大きく減少していることがわかります。


⑦取り組みを進めていくにあたっての障壁となっている.jpg


また「悩みや課題を解決するために取り組んだこと/現在も取り組んでいること」については、36.2%が「特にない」で一番多く、「セミナーや勉強会に参加している」、「外部専門家に依頼/相談している」と答えた人が約25%、次いで「日本の書籍やオンラインの記事を読んで情報を収集している」、「国内のイベントに参加している」がそれぞれ2割強でした。その中でも外部専門家への依頼/相談、国内のイベント参加、他企業の担当者との情報交換という項目については、まだ取り組みを始めていない層に比べて高い結果となりました。


⑧『カスタマーサクセス』の悩みや課題を解決するために取り組んだこと現在も取り組んでいること.jpg


カスタマーサクセスの取り組み効果については、専業で取り組んでいる人たちの7割以上、兼業で取り組んでいる人たちも6割近くが「効果を感じている」と回答しました。


⑨カスタマーサクセスの取り組み効果を感じていますか?.jpg


これらの調査結果から、カスタマーサクセスチームの成熟度や取り組み内容、フェーズによって、担当者が向き合うべき・取り組むべき課題も当然のことながら変化するということがわかりました。たとえば「何から手をつけたらいいのかわからない」という項目は、すべての層において多くの人が抱える初期課題として挙がっていますが、取り組みが進んでいる層は「既に解決している」項目になっています。また、まだ取り組みが始まっていない層の3割以上が「人材・組織体制が不十分」という点に不安・課題を感じていますが、既に取り組みを進めている層が初期の段階で人材や組織についてあまり課題感を持っていなかったことから、組織体制をゆくゆく整えていくことは重要であれど、最初は兼務でも「手探りだけど、スモールスタートでとりあえずやってみる」ことが軌道に乗せるための鍵なのかもしれません。より効果を生みだすためには、ゆくゆくは専任担当者/専任部署を作ることが必須と言えるでしょう。

最後に、全ての対象者(n=1,000)に「カスタマーサクセスが必要だと思う理由」について尋ねたところ様々な回答が挙がってきましたが、中でも、

  • 時代・世の中の流れ
  • 売り上げを伸ばすため、継続した収益を得るため
  • 顧客の要望・ニーズの変化
  • ロイヤルカスタマーの確保と、ブランド価値の向上のため
  • 顧客とWin-Winになることで自社がより成長できるため


といったことを挙げた人が特に多く、時代流れや顧客のニーズに合わせてビジネスのやり方を変えることが、企業存続のために避けて通れないことであるという認識の上でカスタマーサクセスに取り組んでいる企業が多い、という事がわかる結果となりました。しかし、取り組まざるを得ない状況になったものの、これから取り組もうとしている人たちにとってはまだまだ正解がわかりにくい領域であることは間違いありません。バーチャレクス・アイティクラウド両社では、これからカスタマーサクセスの取り組みを始めていく企業の方たちに向けても、セミナーや勉強会、そのほか情報のご提供ができる場を作り、より多くの企業様が「顧客の成功」に取り組める状況を生みだすお手伝いをしていきたいと考えています。

なお、バーチャレクスはこれらの調査結果に加え、先月サンフランシスコで開催された世界最大規模のカスタマーサクセスイベント「Pulse2019」への参加体験から、日本企業の多く、特に中堅・大企業が直面するであろう4つの"壁"についてまとめています。

「日本におけるカスタマーサクセスの『壁』とは?」
「世界最大の"カスタマーサクセスコミュニティ"『Pulse 2019』イベント参加レポート vo.1  ~概要編~」

本調査結果については引き続きアイティクラウドと共同で分析を行い、近日第四弾の調査結果を発表する予定です。

参考:『カスタマーサクセス ―サブスクリプション時代に 求められる「顧客の成功」10の原則―』

【調査実施概要】
「カスタマーサクセスに関する調査」
・調査方法  :インターネットアンケート
・調査実施期間:2019年3月20日~2019年3月21日
・対象地域  :全国
・対象者   :20歳から65歳の有職者(パート・アルバイト、専業主婦・主夫、学生を除く)1,000人


アイティクラウド株式会社について
アイティクラウドは、IT製品のレビューメディア事業展開を目的とし、SB C&S株式会社とアイティメディア株式会社の合弁会社として2018年4月に設立されました。「IT選びに、革新と確信を」をミッションにかかげ、企業がテクノロジーを活用する上で必要となる"信頼できる声"や"確かな情報"の集まる場である「ITreview」を同年10月に開設。リアルユーザーの製品レビューを収集・掲載することで、IT選定の透明性を高め、迅速で自信に溢れた意思決定のできる世界の実現を目指しています。現在、1万6,000件以上の国内レビューを掲載しており、製品選びを行う企業ユーザー、カスタマーサクセスの実現を目指すベンダーユーザーの双方にご利用いただいております。

※本文に記載の社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。



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