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2026.04.06

【2026年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査(3)】カスタマーサクセスの「経営OS」化が進展、経営層の8割超が必要性を実感 成果を分ける鍵はAI活用の「深度」

バーチャレクスは、この度「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」を実施し、前回の第二弾に引き続き2026年版第三弾の結果を取りまとめました。本調査では、カスタマーサクセスの経営基盤化の進展と、AI活用の深度が成果を分ける実態が明らかになりました。

第三弾のハイライト

経営層の認識が「トレンド」から「実利的な投資」へ変容
自社でカスタマーサクセスに取り組む経営層/役員職のうち、78.4%(前年比8.1ポイント増)がその必要性を実感しています。さらに、その中でも自ら取り組みに直接関与している層では82.5%に達しており、現場の一般社員(78.5%)と比較しても、より強い必要性認識が示されています。

業種を越えた「効果実感の逆転現象」が顕著に
先行してきたIT・デジタル関連業種の効果実感が60.1%(前年比3.0ポイント減)と停滞する一方で、サービス業(68.1%)や建設・不動産・流通(65.8%)といった非IT領域が大きく伸長しました。これは、従来のサブスクリプション型モデルから、全産業における「顧客維持戦略」への主役交代を示唆しています。

AI活用の深度」が成果を分かつ明確な分岐点に
AIを分析・予測まで高度に活用する組織の効果実感は82.0%に達する一方、未導入・検討中の層(約22%)との間には約60ポイントもの大きな成果格差が生じています。また、チャットボット等の「部分活用」に留まる層の効果実感(61.2%)は全体平均と一致しており、限定的な導入ではもはや差別化が困難な「標準化の罠」が鮮明となりました。

カスタマーサクセスの必要性に対する意識の変化

今回の調査において、「自社でカスタマーサクセスに取り組んでいる人」と回答した中の794に対して、直近1年間におけるカスタマーサクセスの必要性に対する意識の変化を尋ねたところ、78.5%「必要性を感じるようになった」と回答しました。これは前年の75.7%から2.8ポイントの上昇となりますその中で、経営層/役員以上に絞って聞いてみると、前年の70.3%から8.1ポイントも上昇している78.4%必要性を感じると回答しています。

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特に注目すべきは、自らカスタマーサクセスの取り組みに直接関与している経営層/役員職以上の意識変化で、その必要性を実感している割合は82.5%と、現場の一般社員(78.5%をも上回る割合となりました。前年まではトレンドとして受容されていたカスタマーサクセスが、今年は収益基盤を支える実利的な投資対象へと、経営層の認識が変化している様子がうかがえます。

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次に、サブスクリプション型(サブスク)商材取り扱い有無別で見ると、取り扱いがある企業では83.8%(前年78.2%)がその必要性を感じており、カスタマーサクセスが検証段階の施策ではなく、収益構造を支える経営基盤として定着した状況を裏付けています。また、必要性を感じないと回答した層が前年の6.0%から3.8%へと減少した点は、市場の成熟を象徴しています。

市場全体では前年までのAI活用による効率化フェーズを経て、カスタマーサクセスの有無が事業の安定性に直結するという認識が広がってきています。現在の肯定派の伸長は、カスタマーサクセスが特定部門の限定的な役割から、組織全体に関わる標準的な事業システムへと役割を広げている傾向を裏付けています。

一方で、サブスク商材の取り扱いがない企業では、新たな変化の兆しがうかがえます。カスタマーサクセスの必要性を感じる割合が47.0%と、前年(46.9%)から横ばいで推移する中、どちらとも言えないと回答した中間層が49.0%へと上昇し、前年の44.9%から4.1ポイント増加しました。この数値は、単なる意識の停滞ではなく、「必要性は感じているものの、自社にどう適用すべきか判断しきれていない企業が増えている」状態を示しています。必要性を感じないと回答する層が減少した分、この中間層へ流入している点は重要です。新規獲得コストの高騰や市場の飽和を背景に、非サブスク企業においても既存顧客との長期的な関係性を再考する動きが強まっている傾向がうかがえます。

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業種別の意識変化においても、IT・デジタル関連および製造・技術関連2業種が、市場全体のカスタマーサクセス普及を力強く牽引している状況が鮮明となりました。IT・デジタル関連では必要性を感じる割合が86.9%(前年72.5%)に達し、製造・技術関連でも83.3%(前年66.4%)へと急伸しています。これはビジネスモデルの転換やアフターサービスの再定義が、製造現場へも深く浸透しつつある状況を反映しています。

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一方で、サービス業建設・不動産・流通、人材・金融等の領域では独自の動きがうかがえます。サービス業では必要性を感じる割合が81.7%(前年62.7%)と急増した反面、必要性を感じないと回答した層も15.9%(前年5.5%)へと増加しました。同様の傾向は建設・不動産・流通(必要性を感じない層が6.0%から27.4%上昇)などでも確認され、カスタマーサクセスの概念が広がるにつれ、業界固有の商習慣や対面サービスとの整合性に苦慮する「二極化」が生じている可能性が考えられます。

カスタマーサクセス効果の感じ方

次のグラフは、2021年から2026にかけて、カスタマーサクセスに取り組んでいる企業がその効果を感じているかを経年で表したものです。今年は過去最高の61.2%を記録しました。2021年の51.4%から着実な上昇を続けてきた一方で、2022年以降は60%前後での推移が続いており、従来の手法だけではさらなる成果向上に限界が見え始めている状況がうかがえます。この停滞の背景を属性別に分析すると、組織の習熟度や規模に応じた新たな課題が浮き彫りになりました。

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カスタマーサクセス取り組み期間別で効果の感じ方を見ると、導入1年未満の立ち上げ期には71.6%という高い効果実感が得られている反面、4年以上が経過した組織では56.2%へと下落し、効果を感じていない層が14.1%と全区分で最大になっています。これは、初期施策による即効性のある成果が一段落した後、顧客の期待値の上昇に対して組織のサービス進化が追いつかなくなる、長期運用特有の難しさを示唆しています。

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同じく効果の感じ方をカスタマーサクセス担当者人数別で見てみると、3人から5の体制で効果実感62.7%と低迷し、どちらとも言えないと回答する停滞層3に達しています。これは少数精鋭の機動力から組織的運用へと移行する過程で、管理コストの増大や現場の混乱が生じやすい時期であることを反映している可能性があります。ここを脱し、チーム戦略と個人の動きが噛み合う6人から10の体制へ移行した層では、効果実感80.4%と突出して高まる傾向がうかがえます。

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さらに、サブスク型商材取り扱い有無別で見ると、サブスク商材を取り扱っている企業でカスタマーサクセスの効果を感じている人は69.2%(前年64.2%)へと上昇し、効果を感じていない人は8.8%(前年10.9%)へ減少しています。運用サイクルの成熟が進み、カスタマーサクセスの「やり切り」が具体的な成果に結びつき始めていることがうかがえます。

一方で取り扱いがない企業では効果を体感している層が37.9%(前年39.8%)と微減し、サブスク企業の約半分にとどまっています。特に「どちらとも言えない」層が44.6%(前年42.0%)へと拡大しており、必要性は認識しつつも、実務において成果の出し方に苦慮し足踏みしている実態がうかがえます。効果を感じていない層も17.5%とサブスク企業の約2倍の水準で推移しており、適切なKPI設計がないまま導入することで、活動が単なる保守・サポート業務にとどまり、コスト増を招いている懸念も否定できません。

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業種別では、成功モデルの変化とも言える動きが顕著です。先行してきたIT・デジタル関連業種のカスタマーサクセス効果実感60.1%と前年(63.1%)から下落し、カスタマーサクセスの提供が当然視される減点評価のフェーズに入っている可能性が考えられます。一方で、サービス業(68.1%建設・不動産・流通(65.8%といったIT領域が前年から大きく伸長し、IT業界を上回る効果実感の逆転現象が起きています。これは非IT領域におけるデジタルフォロー等の導入が、顧客にとって新しい体験として高く評価されている背景を示唆しています。非サブスク領域における課題解決と同様に、これらの業界におけるカスタマーサクセスの適合は、今後の市場における大きな成長エンジンとなる可能性を示しています。

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今回の分析で最も象徴的だったのは、AIの活用深度効果実感の相関です。業務の大部分でAIを高度に活用し、データ分析や先回り予測まで自動化している層のカスタマーサクセス効果実感82.0%に達しています。これは「カスタマーサクセスの取り組みに対して効果を感じている」と答えた人の割合(61.2%=全体平均)を20ポイント以上引き離す突出した数値であり、人力の限界をテクノロジーで突破した組織が、プロアクティブな提案というカスタマーサクセスの本質的な価値を実現している状況を物語っています。

対照的に、チャットボットやFAQ対応などの「部分的な活用」にとどまる層の効果実感は61.2%と、全体平均と一致する結果となりました。この結果は、限定的な自動化がすでに市場における標準となっている現状を示しています。部分活用で足踏みしている組織は、相対的に「平凡なカスタマーサクセス」に埋没し始めているという警鐘とも受け取れます。

さらに、活用が進んでいない層との間には深刻な断絶が生じています。試験的活用層(40.8%未導入・検討中の層(約22%では効果実感大幅に沈んでおり、高度活用層との間には約60ポイントもの大差が生じています。特に注目すべきは、「導入はしているが活用できていない」層の効果実感が最低値の19.2%にとどまり、効果を感じていないと回答した割合が42.3%に達している点です。目的の不明瞭な導入や現場の習熟不足が、未導入時よりも深刻な実害や組織内の不信感を招いている「名ばかりAI化」の弊害が考えられます。

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2026年のカスタマーサクセス市場は、AIを単なる補助ツールではなく「業務を再定義するOS」として高度に実装できた組織が独走する一方で、従来の手法や部分的な自動化に留まる組織が「平均の停滞」に飲み込まれる、明確な転換期を迎えています。

第三弾まとめ:カスタマーサクセスは「導入」から「AIによる高度な再定義」のフェーズへ

今回の分析では、カスタマーサクセスが一部の先進的なIT企業によるトレンドを脱し、全産業における「経営OS」へと進化した実態が浮き彫りとなりました。経営層のコミットメントが過去最高水準に達し、収益構造を支える実利的な投資対象として確立された一方で、従来の手法や部分的なデジタル活用に留まる組織は「6割の効果実感」という停滞の壁に直面しています。

この停滞を打破し、さらなる成長を遂げるための決定的な鍵は、AIを「分析・予測」のレベルまで高度に実装し、業務プロセスそのものを再定義できるか否かにあります。高度活用層と未導入・検討中の層の間で生じている約60ポイントもの成果格差は、単なるツールの有無ではなく、テクノロジーを中核に据えた組織変革の成否が、今後の市場競争における決定的な分岐点になることを示唆しています。

【調査実施概要】
「2026年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
・調査方法:インターネットアンケート
・調査実施期間:2026年3月12日~2026年3月17日
・対象地域:全国
・対象者:20歳から65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)45,571人

※2019年~2025年の調査結果はこちらよりご覧いただけます。

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