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2026.03.25

【2026年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査(1)】カスタマーサクセス、認知度25%突破 経営層理解の進展で戦略フェーズへ

バーチャレクスは、この度「カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」を実施し、2026年版の調査結果をまとめました。本調査は2019年から毎年実施しており、今回で8回目となります。

本調査の目的と対象

カスタマーサクセスは、企業が持続的に成長し、顧客との関係を深化させるために不可欠な戦略として注目されています。特にSaaS企業を中心に広まりを見せたこの概念は、近年ではBtoBBtoCを問わず多くの業界で取り入れられるようになりました。

本調査は業種・企業規模を問わず、幅広い企業に勤務する人を対象に実施し、そのデータをもとに日本市場全体におけるカスタマーサクセスの認知/理解度・導入状況・課題・成果等を多角的に分析しています。カスタマーサクセスに取り組んでいる企業だけでなく、まだ取り組んでいない企業の意識や課題にも着目し、「カスタマーサクセス導入率」のほか、「成果と業績への影響」「未導入企業の課題や導入障壁」「カスタマーサクセスにおけるAIの活用実態」までを総合的に分析します。直面している障壁から見込まれる成果、AIの導入段階や活用領域などを深掘りし、数回に分けて結果を公開していくものです。

第一弾のハイライト

認知度が初の25%を突破、ついに「4人に1人」が知る言葉へ
2019年の調査開始以来、長らく横ばいが続いていた「カスタマーサクセス」というワードの認知度が25.2%(昨年比3.3ポイント増)に上昇。特に経営層・トップ層における理解度が急激に高まっており、企業成長の要として注目を集めています。

取り組み率は約半数で高止まり、非サブスクビジネスへも波及
カスタマーサクセスに取り組む企業の割合は50.3%で推移。サブスクリプション型商材での重要性が再確認される一方、非サブスクビジネスにおいても導入が進んでおり、業界の枠を超えた広がりを見せています。

"バズワード"から「戦略フェーズ」へ。進捗実感の鈍化は成熟の証
直近3年間で取り組みが「進んだ」と実感する企業は76.8%となり、昨年の84.9%から減少しました。これは停滞ではなく、初期の導入フェーズを終え、「確実な成果創出」や「運用の高度化」が求められる、より難易度の高い本格的な戦略フェーズへ移行したことを示唆しています。

カスタマーサクセス認知・理解状況

今回は全国の20歳から65歳までの有職者45,571を対象に行った調査データをもとに、国内カスタマーサクセス市場全体の概況と現在地を確認していきます。まず、「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがありますか?」と尋ねたところ、「聞いたことがある」人は全体の25.2%という結果になりました。

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2019年から横ばいが続いていた認知度が、調査開始以降初めて25%の大台を超え、明確な上昇トレンドに入ったことがわかります。普及期から、言葉としての目新しさが落ち着く「成熟化の兆し」が見られます。対して「聞いたことがない」と回答した人は74.8%となりました。

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カスタマーサクセスを「非常に理解している」人の割合は全体ベースで3.2%(昨年比+0.4ポイント増)にとどまる結果となりました。また「多少は理解している(『まあ理解している』『何となく理解している』)」と答えた人は18.7%(昨年比+2.6ポイント増)となっており、急激な認知拡大の裏で、実務レベルでの深い理解が浸透するには依然として時間がかかっているものの、知識の定着は着実に進んでいる実態が浮き彫りとなりました。

次に役職別でカスタマーサクセスに対する認知および理解を見てみると、企業のトップを務める人たちの72.0%「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがない」と回答していますが、これは昨年の78.6%から改善されています。さらにトップ層においてカスタマーサクセスを理解していると答えた人は9.2%と、昨年の4.6%から倍増しました。

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理解度が一番高かったのは、昨年同様「執行役員・本部長・事業部長層」「非常に理解している」と回答した人は22.6%(昨年12.3%)と、こちらも飛躍的に数字を伸ばしています。これまで、カスタマーサクセスの導入・運用において「経営層の理解不足」が大きな壁とされてきましたが、2026年の調査ではトップ層および事業責任者層での認知・理解度が急激に高まっています。事業戦略の中核としてカスタマーサクセスを位置づける動きが、経営のトップレベルから進み始めていることが示唆されます。

次に、「サブスクリプション型(サブスク)」商材の取り扱い有無別でその認知・理解割合を見てみると、サブスク商材の取り扱いがある層21.7%(昨年20.1%)は「非常に理解している」と回答したのに対し、取り扱いがない層では「聞いたことがない」人の割合が79.1%で、理解している人は1.4%でした。カスタマーサクセスは顧客の継続利用を重視するサブスクモデルと親和性が高いため、依然として大きな差異がありますが、サブスク以外の層でも認知・理解を合わせると約21%に達しており、業界の枠を超えた広がりを見せつつあります。

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カスタマーサクセス導入・取り組み状況

続いて実際の取り組み状況を確認します。カスタマーサクセスという言葉を認知している9,977人に対して、「勤務先でカスタマーサクセスに取り組んでいるか」と尋ねたところ、「取り組んでいる部署、または担当者がいる」と答えた人は50.3%(昨年より0.8ポイント増)と、半数を超える結果となりました。一方で、「今は取り組んでいないが、今後は取り組む予定」と回答した人は6.4%(昨年より1.3ポイント減)にとどまっており、新規の検討フェーズから、実際の運用フェーズへと移行した企業が多いことが推察されます。また14.7%の人は「取り組む予定もなく、かつ必要性を感じていない」と回答しています。認知度が向上した一方で、実際の取り組み率は約半数で高止まりしており、「概念は知っているが自社の導入には至らない(あるいは必要ない)」と判断している層が一定数存在することがわかります。

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この結果を回答者の勤務先業種別で見てみると、最も高い取り組み率を維持しているのは依然としてIT・デジタル関連」ですが、その割合は57.2%で、昨年より1.6ポイント減となりました。また、昨年IT業界に次いで高い実施率を誇った「製造・技術関連」についても、今年は54.7%で昨年より0.5ポイント減と、いずれも微減または横ばいの傾向を見せています。

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これらの主要業種において数値が爆発的に伸びていないことは、カスタマーサクセスが導入のピークを過ぎ、仕組みとして定着・安定する「成熟期」に入りつつあることを示唆しています。新規に組織を立ち上げるフェーズから、現在の体制をいかに効率化し、成果を最大化させるかという運用の質を問うフェーズへ移行したと言えるでしょう。

ITや製造、サービス業といった先行業種が「成熟・高止まり」の傾向を見せる一方で、専門サービスや公共セクターにおいて着実な進展が見られました。顕著な伸びを見せたのが「人材・医療・金融・教育・コンサル」業種です。取り組み率は昨年の46.9%から50.8%3.9ポイント増)と半数を超えました。また、「公共・その他」においても昨年の40.9%から42.0%1.1ポイント増)へと上昇しています。

先行業種が運用の効率化や質の向上を問うフェーズへ移行する中、提供価値の主軸が継続的な支援にある専門サービス業や公共セクターにおいて、利用者の「成果(ベネフィット)」に伴走するというカスタマーサクセスの本質的な考え方が、実務レベルで着実に裾野を広げていると言えるでしょう。

次は従業員規模別に見てみます。10人未満の企業での取り組み率は34.1%(昨年34.5%)、10,000人以上の企業では61.9%(昨年60.2%)と、規模によって取り組み率に大きく差がつく結果となりました。小規模企業においては、顧客との距離の近さを活かした「属人的で手厚いサポート」がカスタマーサクセスとして機能している面があります。しかし、企業が成長し顧客数が増加する過程で、この「無意識のカスタマーサクセス」をデータ化し、組織的な仕組みへと移行することには依然として高いハードルがあることが推察されます。一方の大企業では、継続的に顧客を支援し、LTVを最大化するための専任組織の設置やテクノロジーの活用がすでに標準化しつつあり、企業規模によるカスタマーサクセスへのアプローチの違いが明確に表れています。

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最後にサブスクリプション型商材取り扱い有無別で見てみると、カスタマーサクセスに取り組んでいるサブスク商材取り扱い企業78.0%(昨年76.4%)、さらには「今後取り組む予定」である人が7.9%「必要性を感じている」と回答した人は7.1%と、サブスクビジネスにおけるカスタマーサクセスの重要性が改めて強調される結果となりました。

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一方サブスク商材を扱っていない企業においては、カスタマーサクセスの取り組みを行っていると答えたのは36.5%(昨年34.8%)と、昨年度から1.7ポイント上昇しました。顧客との継続契約が前提でない非サブスクのビジネスモデルであっても、リピート購入や顧客満足度向上、アップセル/クロスセルなどを重視し、カスタマーサクセス的な取り組みを実践する企業が着実に増えていることを示唆しています。

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直近三年間におけるカスタマーサクセス取り組み進捗状況

 次のグラフはカスタマーサクセスを社内で取り組んでいると答えた人に対して、直近3年間でその取り組みが進んだかどうかを聞き、結果を示したものです。2026年は非常に進んだと答えた人が13.3%(昨年13.9%)、まあ進んだと答えた人が27.2%(昨年32.0%)、どちらかと言えば進んだという人が36.3%(昨年39.0%)となりました。これらを合わせた「進んだ」と感じている人の合計は76.8%となり、昨年の84.9%から8.1ポイント減少しています。

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この結果は進捗の鈍化を示しているように見えますが、単なる停滞と捉えるべきではありません。カスタマーサクセスの取り組みが一定程度普及したことで、これまでのような「立ち上げ・導入」による進展実感が得られにくくなり、代わって成果創出や運用高度化といった、より難易度の高いフェーズに移行している可能性があります。実際に、認知や経営層の理解が進む一方で、進捗実感が相対的に低下している点は、取り組みの質や成果が問われる段階に入っていることを示唆しています。

次に、この結果を回答者の勤務先業種別に見てみます。全体として「進んだ」と感じている割合が最も大きいのはIT・デジタル関連80.4%(昨年87.2%)でした。しかし注目すべきは、製造・技術関連(75.9%サービス業(77.3%人材・金融・教育・コンサル(76.8%など、それ以外のあらゆる業種においても「進んだ」とする割合が73%77%の間に密集している点です。IT業界が市場を牽引しつつも、現在は業界の垣根を越えてカスタマーサクセスの取り組みが広範に底上げされていることがわかります。

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さらに、サブスクリプション型商材取り扱い有無別でも分析します。サブスク商材を取り扱う企業では「非常に進んだ」「まあ進んだ」の割合が高く合計で52.5%、さらに「どちらかといえば進んだ」を含めると86.5%「前進した」と感じています。一方、サブスク商材を扱わない企業では「進んだ」の合計は66.5%となりました。昨年のデータと比較すると、サブスク商材あり(昨年90.3%→今年86.5%)、サブスク商材なし(昨年77.5%→今年66.5%)と、いずれの層においても「進んだ」と実感している割合が減少(鈍化)していることがわかります。また、「非常に進んだ」と回答した層の割合に目を向けると、サブスク商材ありの企業が20.2%(昨年も20.2%)であるのに対し、サブスク商材なしの企業では5.5%(昨年6.2%)にとどまっています。この約4倍の開きは昨年から変わらぬ傾向であり、非サブスク企業においてもカスタマーサクセスは確実に前進しているものの、ビジネスモデルの構造上、目覚ましいブレイクスルーを実感するまでには依然として高いハードルが立ちはだかっていることがうかがえます。

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第一弾まとめ:認知・理解の壁を超え、本格的な戦略フェーズへ

今回の分析では、カスタマーサクセスの認知度が初めて25%を超え、特に経営層や事業責任者層における理解が大きく進展していることが明らかとなりました。一方で、導入率や取り組みの進捗は全体として高止まりし、伸びの鈍化も見られています。

こうした変化は単なる停滞ではなく、フェーズの移行を示唆するものと考えられます。カスタマーサクセスの取り組みが一定程度普及したことで、これまでのような「立ち上げ・導入」による進展実感が得られにくくなり、代わって成果創出や運用高度化といった、より難易度の高い段階に移行していると考えられます。また、経営層の理解が進んだことで期待値が高度化し、従来の取り組みでは進展と認識されにくくなっている可能性もあります。

これは、これまでのように概念を取り入れる「導入フェーズ」から、経営戦略として位置づけたうえで、成果創出を前提とした運用の質が問われる段階へと移行していることを示しています。特にAI活用やデータドリブンな意思決定などより高度な取り組みが求められる中で、単なる取り組みの有無ではなく、その実効性が問われる局面に入っています。

【調査実施概要】
「2026年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査」
・調査方法:インターネットアンケート
・調査実施期間:2026年3月12日~2026年3月17日
・対象地域:全国
・対象者:20歳から65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)45,571人

※2019年~2025年の調査結果はこちらよりご覧いただけます。

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