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Vol.9 2015年7月29日発行

目次:

  1. KEY NOTE: データドリブンの落とし穴~データの向こう側にいる顧客に届くために~
  2. MANAGEMENT VIEW:100歳以上は5万人の時代
  3. FOCUS PROJECT:新規事業の立ち上げプロジェクトにコンサルタントとして参画
    クライアント企業様と共に「新たな価値創造」に取り組む
  4. RECOMMENDATION:「ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか」ピーター・ティール(著)、ブレイク・マスターズ(著)、関 美和(翻訳)、瀧本 哲史

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【KEY NOTE】
データドリブンの落とし穴~データの向こう側にいる顧客に届くために~

もはや今さらと思われるほど、データの重要性が説かれている中で、何故、データドリブンの取り組みは十分な成果を生み出していないのか


本年4月、同タイトルでセミナーを開催させていただいた。思いのほか、多くの方に出席いただき、また好評であったとのことで、私自身、素直にうれしく思った一方で、これだけ世の中でデータ、データと叫ばれていても、実態としては、やはり一部の企業、あるいは一部のユーザにしか有効活用されていないのではないかと感じさせられた。実際、各社の調査結果を見てみると、データドリブンに関する取り組みを進めている企業は多く、増加傾向にあるものの「成果が出ている」と答えている企業は極めて少ないレベルに留まっている。

セミナーでは、こうした実状を踏まえ"よくある落とし穴"を8つほど紹介させていただいた。本稿では紙面の都合上ご紹介できないが、データに潜むバイアス(偏り)の例、データのミスリードの例、アウトカム(望む成果)設定の誤りによる副作用の例など、実際の事例に基づいてお話させていただいた。いずれの事例も「そんなことが実際のビジネスの現場で本当に起こるのか」と疑いたくなるようなものばかりで、中には笑い話のようなものもある。そういったことの原因としては、データ分析上のテクニカルな問題もあるにはあるが、その多くは現実の世界との分断や乖離にある。

どのような状況下でデータが収集されたのかを知らずに、データを分析してしまい、データに潜むバイアスを無視した分析結果がもたらされる。実際の業務やサービスでその数値が何を意味するのかを知らずに、データを読み解こうとし、そのデータ項目の背景にそぐわない分析結果が導き出される。業務間・サービス間にどのような影響や関連性があるのかを知らずに、局所的なアウトカムを求めてデータからの示唆を鵜のみにし、他へ悪影響のあるアクションが計画される。いずれも、現実の世界を軽視し、現実の世界から離れたところでデータを扱い、そこから得られたものを盲目的に信じてしまったがために導かれた結果である。

昨今ではBI(Business Intelligence)、BA(Business Analytics)と呼ばれる様々なソリューションやツールが手軽に利用できるようになり、どんな企業でも比較的容易にデータ活用を進めることができるようになっている。当社も米国の「ADVIZOR(アドバイザー)」というBAソリューションの日本総代理店として、製品とサービスを提供しているが、結局こうしたソリューションを有効に活用できるかどうかは、実際の事業、業務、サービスの理解がなくてはならず、それらの理解なしには適切な分析結果を導き、適切な打ち手を策定・実行することはできない。また、データから得られた示唆を鵜のみにせず、データには現われにくい部分を洞察力と想像力によって補完しなければ、本来目指すべき方向性さえも見失わせてしまうのである。

データの向こう側には現実の世界があり、そこには実際の顧客がいる。その顧客に届くた めには、データは有効であり重要だが、データだけでは実際の顧客には辿り着けない。様々 なデータを有しながらも、そこにいる顧客と真摯に向き合うという姿勢こそ、今まさに求められている。


【FOCUS PROJECT】
新規事業の立ち上げプロジェクトにコンサルタントとして参画
クライアント企業様と共に「新たな価値創造」に取り組む

日系大手企業様の新規事業立ち上げの検討と具体化に必要な各種情報の調査・分析、その結果を踏まえた事業戦略の策定、さらに実行までをも支援し、30名規模の事業体で約30億の売上貢献を目指す。


国内市場の成熟、押し寄せるグローバル化の波、更にインターネットの普及で多様化した顧客の価値観など、昨今の事業環境は複雑さを増している。多くの企業が新たな価値創出やビジネスモデルの変革を模索する中、やはり、社内の取り組みとして新規事業の検討を定期的に行っている日系大手企業A社様をご支援した例を紹介する。

  弊社が参画した時点で、事業テーマの方向性については、すでにA社様で決定されていた。まずは、それらについて具体化に必要な各種情報の調査・分析を行い、今後のビジネスとしてどんな方向性が適切なのかを検討し、明確化する(下図1)ことからご支援を開始した。

次の段階(下図2)では、ビジネスプランをいくつか作成、事業の概要や戦略を策定し、売上、コスト感など収支シミュレーションの精緻化を図りつつ、事業を成功させるための経営数値目標など、より具体的に設定する作業を行った。そしてこれらの作業が一通り形になった段階で、どのようなビジネスで、どのくらいの人材や投資が必要で、どのくらいの収支規模が見込めるかの企画詳細プレゼンテーションを行い、ようやくA社様社内での承認を獲得し、いよいよ当初のテーマを実行に移す段階になったわけであるが、これまでの弊社の仕事ぶり(この時点で下図1~3の過程が終了)が評価され、引き続きプロジェクトへの参画を依頼された。

実行フェーズ(下図4以降)に入り、コンサルタントを増員、体制強化を図り、事業立ち上げに必要な組織の設計、業務の検討、社内資料作成や、社内外で発生する様々な調整、競合調査、特定の事業に関わる公的な制度や、補助金交付関連情報などを含む行政動向調査、 更にはサービス提供内容や、そのために必要な外部企業、団体等とのパートナリング、業務 システムの構築提案など、業務スコープに捉われず、包括的なご支援を行ったのである。

従来、弊社は「コールセンター支援」や「CRM構築」のイメージが強く、またその分野 のサービス提供を得意としている。しかし、本件のような新規事業立ち上げやビジネスモデル開発のプロジェクトにも、近年、様々な業種での参画実績がある。このようなプロジェクトの場合、企業内の人材のみではその知見に限界がある。そんな折にはぜひ弊社へのお声がけをご検討いただきたい。

新規事業創出の検討とその具体化に向けた流れ