infinity

infinity(インフィニティVol5)

Vol.5 2014年7月4日発行

目次:

  1. KEY NOTE: 「グロースハック」が突き付ける命題~「グロースハック」は我々に何を問い掛けているのか~
  2. MANAGEMENT VIEW:プロジェクトデザイン
  3. FOCUS PROJECT:勝因は事前の戦略にあり!大手不動産検索ポータルサイトの中古物件領域で、登録不動産店舗数業界No2を半年間で達成!
  4. RECOMMENDATION:「グレイトフルデッドにマーケティングを学ぶ」デイヴィット・ミーアマン・スコット(著)、ブライアン・ハリガン(著)、糸井重里(監修)、渡辺由佳里(翻訳)

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【KEY NOTE】
「グロースハック」が突き付ける命題~「グロースハック」は我々に何を問い掛けているのか~

驚異的な成長を導くという「グロースハック(Growth Hack)」企業組織はどのように捉えるべきなのか


2012年の米大統領選で、共和党ロムニー候補陣営がWEBサイトやメール、ソーシャルメディア等によるマーケティングを行い、1億8000万ドルもの個人献金を短期間で集め、話題になった。 その他、FacebookやDropbox等が急速に普及した成功要因として、「グロースハック」や「グロースハッカー」に注目が集まり、広く語られるようになった。

「ハック」「ハッカー」と聞くと、コンピュータに不正侵入する意味で使われることがあるため、ネガティブな印象を抱く方もいるかもしれないが、そもそもは、コンピュータや通信のシステムを熟知した者が行うエンジニアリング全般を意味している。したがって、「グロースハック」とは、製品やサービスの成長、あるいはユーザの数や質の成長をエンジニアリングの手法を用いて仕組化することである。これに加え、先述のような事例を背景に、"驚異的な成長"という意味合いも含まれている。

では、具体的には「グロースハック」とはどのようなことなのだろうか。これについては、種々説明があるが、共通的に説かれることとしては、まず、分析的・科学的な面である。より大きな成長に繋がる分水嶺を正確に見定め、正しいアクションを取るためには、分析的・科学的なアプローチが不可欠である。二つ目は、創造的・感性的な面である。従来の手法に捉われず、創造的で感性に訴えるアクションでなければ、様々な手法を目にしている現在の消費者や利用者を突き動かすことはできない。三つ目は、試行錯誤的な面である。驚異的と言われる成長には、一朝一夕では辿り着かない。その実現のためには、地味で地道な試行錯誤を繰り返し、よりよい方策を模索し続けねばならない。

上記三点は、「グロースハック」の特徴を端的に示しているが、「グロースハック」には、その取り組みを支える大前提がある。それは①有効なデータを効率的に取得する仕掛け、②短期的ではなく中長期的な成長戦略、③市場や消費者を満足させる商材である。①は先述した分析的・科学的なアプローチを取るための前提である。②は各種の事例が短期間での驚異的な成長を示していることから忘れられがちであるが、「グロースハック」は持続性のある中長期的な成長戦略の中で位置づけられねばならない。③は当然ではあるが、いくら優れたアプローチで市場を一時的に席巻したとしても、魅力的で満足を与える商材でない限り、真の成長を見込むことはできないわけである。

こうして改めて「グロースハック」を紐解いてみると、いずれも当然と思えるような要素で構成されていることがわかる。また、これらの要素を有する「グロースハッカー」と呼ばれる人材やチームについても、漠然としたイメージを抱くことができるだろう。しかし、これを企業組織として考えるとどうか。

「グロースハッカー」という言葉があるように、「グロースハック」の実行者は特定の人材やチームが想定されているように思われる。しかし、現在の激しい競争環境の中で求められているのは、こうした要素を有する企業、グロースハックな企業なのではないだろうか。驚異的な成長は企業組織の一部によって成し遂げられるわけではない。企業組織全体としてグロースハックな文化や仕組みが根付くことこそが重要であり、我々が今突き付けられている命題はそこにあるのではないか。


【FOCUS PROJECT】
勝因は事前の戦略策定にあり!大手不動産検索ポータルサイトの中古物件領域で、登録不動産店舗数業界No2を半年間で達成!

中古物件を心ゆくまで探せるサイトにしたい ― そんな想いから始まったサービスリニューアルプロジェクト。当社による本格的営業期間前の綿密な戦略策定でクライアントに「結果」で貢献。


WEB領域を専門とする広告企画販売会社A社様は、大手不動産検索ポータルサイト上で2014年1月より中古物件情報掲載のための新サービスを販売することとなった。

  サービス開始までの準備期間、最も重要視されたのは各地域の事情を熟知する「町の不 動産屋さんに如何にしてサービスの利用登録をしてもらうか?」ということだった。

中古物件領域では後発のA社様は、登録店舗を募集するための営業期間を半年と設定、対面営業なしで登録までの契約を締結ということが前提であったため、アウトバウンドを得意とする数社に提案を依頼した。

しかし、その一方で、中立的立場からの客観的アドバイスの必要性も認識され、そこでコンサル会社である当社にもお声がけいただいたわけである。

当社では、まず営業期間開始前の準備期間に「何をするか?」に着目、闇雲に営業目標数値を提示するのではなく、トライアル期間を設けて調査を行い、現実的な目標を設定する必要性を説いた。その上でトライアルを行うにあたり、綿密な戦略策定を行い、地域を限定し、どのタイミングで、どのような内容の、どのような接触手段(コール、DM、FAX、DM等々)が「町の不動産屋さん」の心を捉え、利用登録に至るまでの信頼関係を築けるかを徹底的に調査した。

その後、調査結果を踏まえ、半年間の営業期間の目標登録店舗数を現実的かつ明確に設定、結果として2014年2月は5,300店舗の登録を達成し、一躍中古物件情報サイトで業界No.2の座を獲得した。

更なる効果として店舗登録数が激増したことにより、住まいの選択肢も増え、リニューアル前と比較するとユーザ滞在時間が168%、資料請求数が110%~113%と飛躍的に向上した。

当社はコンサル部門だけでなく、BPO部門、IT部門もあるため、各種DBや契約状況、請求等の基幹システム開発も支援、現在ではカスタマーサポートをも受託し、日々ユーザと接し、サービス改善に努めている。

また、獲得したユーザ数の維持も非常に重要だ。サイトパトロールを実施し、サイト情報の 品質を保つための対策にも余念がない。今後もより一層の貢献を目指している。

■ サービス提供イメージ
サービス提供イメージ