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【KEY NOTE】
NPS(Net Promoter Score)が共感を呼ぶわけ~ NPSに関心と共感が寄せられるのはなぜか?~

NPSへの関心や共感を考えることで、現在のビジネス環境が見えてくる。
NPSはわれわれに何を伝えようとしているのか?


Apple社やAMEX社等での活用の紹介等により、顧客のロイヤリティを測る指標として、NPS(Net Promoter Score/推奨者正味比率)の考え方が広まり、実際に試行・採用する企業が日本でも増えてきた。高度な情報技術を用いて、顧客に関する多様かつ膨大なデータを収集・蓄積・分析する動きが高まっている一方で、こうしたシンプルな指標の重要性に共感が寄せられていることは実に興味深い。

NPSの算出では、まず「あなたが〇〇を親友や同僚に薦める可能性はどのくらいあるか?」という"究極の質問"(Ultimate Question)に対する回答を、0~ 10の11段階で調査する。そして、10~ 9を「推奨者/Promoter」、8~ 7を「中立者/ Passive」、6~ 0を「批判者/Detractor」とし、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた数値がNPSとなる。実にシンプルである。

お気づきのとおり、NPSは、業界によっても国によってもスコア分布が異なるため、相対的な参考評価でしかないという批判もある。また、ビジネスの成長を予測できる数値とは言えない、たった1つの数値に頼ることはできない、という批判などもある。しかし、実際に実施した企業担当者の話を聞くと、批判的な意見はあまりなく、結果から得られた気付きや今後の継続運営等、前向きな話を聞くことが多い。それはNPSが現状のビジネス環境の一面を捉えているということだろう。

NPSは、現在多くの企業が取り組んでいるテーマや課題と繋がりがある。例えば、①ソーシャルメディアの発展・普及により、口コミの影響力やバイラル・マーケティングが重視されている点、②Life Time Valueの最大化を目的とした会員型、定期配送型等の販売モデルが採用され、顧客のロイヤリティ化がより重要になっている点、③商品の安定的な差別化要素を確立しにくく、顧客経験価値が重視されている点等である。こうした取り組みの成果を端的に測る考え方として、NPSが肯定的に受け止められている。

しかし、NPSは万能ではない。他の業務指標と同様、注意して扱う必要がある。まず、自社のブランド戦略やマーケティング戦略との適合性を見極めなければならない。NPSは推奨者/Promoterの数が一つの要素になっているが、商材や戦略によっては、推奨者の増加が重要でない場合もあり、NPSが意味をなさないこともある。 また、NPSを実施する目的を明確化する必要がある。シンプルで強力が故に、目的自体が曖昧になり、一喜一憂の材料にしかならない場合もある。NPSは付随して得られる情報も価値があるため、それらの利活用も含め、目的を明らかにし、見失わないようにする必要がある。

NPS向上そのものを目的化しない運営も重要である。自社の戦略や取り組みによって、ビジネスを好転させることが目的であって、NPSそのものを上げることが目的化してしまうと、取り組みの方向性が狂ってしまう場合もある。

このように、NPSには留意すべき点があるが、それでもやはりNPSというアプローチは重要なメッセージを含んでいる。NPSは、ファン顧客を味方に付け、仲間として戦力化する観点を与えており、そのためには、顧客や消費者とシンプルに向き合うという精神(Spirit)と、それをPDCAで繰り返し回して向き合う仕組み(System/Scheme)が必要である。こうしたカスタマーインサイトの原点に立ち戻らせてくれるメッセージが含まれており、NPSのSは複数の意味合いで捉えるべきだろう。


【FOCUS PROJECT】
BCP(事業継続計画)を検討していた矢先に大震災が発生、短期間での業務移行と臨機応変なオペレーションで困難を克服。

大手酒類・飲料等販売企業様の都内宅配受注センターをコスト削減とBCP(事業継続計画)対策のため、地方への分散化を決定。震災直後のイレギュラー対応に新人オペレータが、一致団結して大奮闘。


2011年3月11日14時46分、東日本大震災が発生。未曾有の災害で大混乱の中、急遽4月10日、わずかな研修期間を経て今回ご紹介するコールセンター業務が開始された。

もともとコスト削減と災害時等のBCP対策を兼ねて既存クライアントである酒類・飲料等販売企業様の都内宅配受注センターを分散化、業務の一部を弊社子会社であるバーチャレクス九州の佐賀コールセンターに移行することは決定していた。佐賀センターでは通常時、コールの大半を占める首都圏の一般個人客、法人客からの注文とお問合せ対応をメイン業務とし、店舗からのコールを扱う東京センターと並行稼動、災害時等どちらかのセンターが稼働不能になった場合、お互いにバックアップするという想定だったが、まさにいきなりの"本番到来"である!しかも本件の立ち上げで採用されたオペレータの9割がコールセンター業界未経験だった。そして震災に続く原発事故の影響 で" 水 "のみに注文が殺到、在庫不足の上、入荷の目処もたたず「水は1人1本まで」と受注ルールを作るなど、超イレギュラー対応に忙殺されることとなる。

佐賀では震災の影響が全くなかったため、殺気だっているお客様の状況を理解するのも容易ではなかった。「何故いきなり怒鳴られるの?」と戸惑うスタッフ達に、東京から出向したSV達は離職させないよう最大限の努力を続ける。早めのエスカレーションを促したり、スタッフの中から急遽2名をリーダーに抜擢、同じ目線でスタッフ同志、心のケアをしてもらうよう気を配ったりもした。

最悪の時期からの出発、けれどもその経験はスタッフ全員の業務遂行への意識向上と責任感、困難を乗り越えたという自信、そしてなにより強い信頼感と団結力をもたらした。

あれから今年で丸3年、今では他社商品の注文・問合せなど複数業務をもこなし順調に増席を続けている。今後も一致団結し、マルチ業務対応化を目指している。

■ サービス提供イメージ
佐賀でのサービス提供イメージ