infinity

infinity(インフィニティVol2)

Vol.2 2013年8月31日発行

目次:

  1. KEY NOTE: ゲーミフィケーションの目的と可能性~ゲーミフィケーションが持つもう一つの効用~
  2. MANAGEMENT VIEW:近未来のCRMプラットフォーム
  3. FOCUS PROJECT:「コンサルティング」、「アウトソーシング」、「テクノロジー」3つのコアサービスが三位一体でEC通販事業を包括的に支援
  4. RECOMMENDATION:「ウォーレン・バフェット 賢者の教え 世界一の投資家 思考の習慣」桑原 晃弥(著)

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【KEY NOTE】
ゲーミフィケーションの目的と可能性~ゲーミフィケーションが持つもう一つの効用~

昨今注目を集めている「ゲーミフィケーション」とは?企業はゲーミフィケーションをどのように考えるべきなのか?


数年前から「ゲーミフィケーション」という言葉をよく耳にするようになった。ゲーミフィケーションとは、利用者を動機づけるために、ゲームの思考方法やメカニクスを、ゲーム以外の分野に活用し、利用者の行動を促進する方法である。平たく言えば、つまらないことにゲームの要素を入れて、やる気と楽しさを持ってもらうことであるから、それほど新しいものではなく、様々な分野で利用されてきた考え方だ。

最近では、ビジネス分野、特にマーケティング分野での活用が注目されている。ネットでゲーミフィケーションの事例を見ると、ポイントやバッジの付与、レベル付けといったゲームの要素をECやSNSに組み込んだ事例がほとんどである。「Business Gamification For Dummies」(2013年2月刊行)では「カスタマーロイヤリティやエンゲージメント、リテンション向上のためゲームの原則を応用し、Web上の顧客行動を促進させる新しいビジネス戦略」としており、本来の概念より狭い定義となっているが、このあたりが注目の活用分野と言えよう。

ゲーミフィケーションがマーケティング分野で有効なのは想像できるが、ゲーミフィケーション(=ゲーム化)であるから、ゲームそのものが持つネガティブな要素も引き継いでいることを見逃してはならない。

まず1つ目は、ゲームに関心がない人々が少なからず存在することである。マーケティング分野に適用する場合、これは留意すべき点だろう。2つ目は、ゲームへの関心は長く続かず、短期間で飽きられることである。利用者との長期的な関係維持を一つの目的として捉える場合、この点も無視できない。3つ目は、ゲーム自体が持つ特徴は簡単に模倣され、類似ゲームが出回ることである。ただでさえ飽きっぽい利用者を類似ゲームが取り囲む状況は好ましいとは言えない。

では、企業は、ゲーミフィケーションをどのように考えるべきなのか。

ゲーミフィケーションを単独で捉え、それのみでカスタマーロイヤリティ、エンゲージメント、リテンションの向上を主たる目的に据えてしまうと、前述のような課題への厳しい対応を迫られる。 そこで、ゲーミフィケーションという方法を、あくまでもオムニチャネルの一つとして考え、当該チャネルで得られたものを他のチャネルや施策に活用するという、謂わば、割り切りを持って考えるべきではなかろうか。

あまり語られないが、ゲーミフィケーションから得られるデータや情報は貴重な財産となる。 ゲーミフィケーションを通じての消費者の反応や行動と、購買行動やイベント反応の関連性を見ること等によって、新たな消費者像が見えてくる。また、ゲーミフィケーションを通じて仮説検証する、あるいは特定の情報を得るためにゲーミフィケーションをデザインする、といったことも有効だ。

ゲーミフィケーションは、古くて新しい方法である。ゲームの要素を活用し、顧客行動を 促すことも重要であるが、テクノロジーの進歩により取得可能となったデータや情報に着目し、その観点からゲーミフィケーションを捉えることが一段上の打ち手を考える上で大切になっていくのではなかろうか。


【FOCUS PROJECT】
「コンサルティング」、「アウトソーシング」、「テクノロジー」3つのコアサービスが三位一体でEC通販事業を包括的に支援

コンサルティングにより最適な通販事業の見直しをご提案、受注センター受託と地方移転、さらにECサイト、受発注管理、在庫管理、顧客情報管理等の基幹システムも構築


企画から業務実行まで長期的にご支援し、結果をコミットすることで真にクライアントに貢献する、そんな弊社の志とコンサル、テクノロジー、アウトソーシングの3つのコアサービスをワンストップで提供可能というメリットが遺憾なく発揮されたのが今回ご紹介するプロジェクトだ。

相談をうけた大手通販事業会社様の主な課題は、EC通販事業全体でのコスト削減、そ のための首都圏から地方への受注センター移転と迅速な業務移管、そして海外製既存システムから脱却し国産パッケージをベースに事業変化に合わせて柔軟に機能追加可能なシステム基盤を構築したいというものであった。これらの課題に対し、まずコンサルタントが最適な事業見直しをご提案、その後、アウトソーシングチームが合流し、わずか1か月で受注センターを首都圏から地方へ移動、業務移管を成し遂げた。さらにコストを削減するためFAX受注業務については弊社パートナー企業のオフショア先である中国・大連のセンターが請け負った。

しかし、この時点でシステム面は追いついていない。取り急ぎ、受注センターで利用する 顧客応対履歴管理には自社パッケージであるinspirX Communication(現inspirX5/インスピーリ ファイブ)を導入、あとから情報をプラットフォームで一元管理するという計画で、受発注、在庫管理等を含むEC通販システムの開発に着手した。仕入、配送、決済代行などはパートナー企業と連携し、現在は受注センター、 バックオフィスの運営からシステム開発・保守までEC通販事業を包括的に請け負っている。そして蓄積されたデータは、分析に活用し、今後の販促戦略の策定につなげていく想定だ。

予算も、期間も、人員も限られた中でかなり困難なプロジェクトであったというが、あきらめることなくクライアントと一体となり「やりきった」ことに意義があるとプロジェクトメンバーは語る。プロジェクトに参加するメンバーは入れ替わっているが、当時の絆は途切れることなく、今でも交流があるというのはクライアントと信頼関係を築けた賜であるといえるだろう。

■ EC通販受託のイメージ図
EC通販受託のイメージ図