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【KEY NOTE】
古くて新しいアカウントベースドマーケティング(ABM)~ SFAやMAの効果をABMが引き出す~

以前からあったABMという概念が今なぜ注目されているのか
そこにはSFAやMAの活用を成功に導くヒントがある


マーケティング領域においては、たびたび新しい言葉が現れる。定着化する言葉もあれば、い わゆるバズワードとして消え去った言葉も少なくない。昨年あたりから「アカウントベースドマーケティング(ABM)」という言葉をたびたび耳にするようになったが、果たしてこの言葉は定着するのだろうか。

ABMとは、いくつか定義があるものの、基本的にはその名が示すとおり、重要な顧客企業ア カウントからの売上最大化を目的に、アカウントごとに最適化されたマーケティング活動を進めることで、ご多分に漏れず、アメリカから流入してきた言葉である。BtoB事業者の方々にとっては当たり前の話で、なぜそんなことが横文字になって流れ込んでいるのかと不思議に思われることだろう。一方で、自社のマーケティングや営業を見たときに、アカウントごとに適切なアプローチが取れていると言える方々も多くはなかろう。

ABMは古くて新しい概念と言われており、BtoBマーケティングにおける、あるべき姿の概念として以前から存在していた。ここに来てようやく、その概念を実現できるテクノロジー的な素地が整ってきたため、改めてその重要性が説かれるようになっている。すなわち、SFA(Sales Force Automation)MA(Marketing Automation)の利用が広がり、データとコンテンツを統合的に管理できるようになったがためにABMが注目されているわけだが、逆説的に捉えると、SFAやMAを導入したものの、BtoBのマーケティングや営業で十分な効果を出せていない企業が多く、改めてABMという原点的概念に立ち返っているとも言える。

では、ABMを効果的に実践していくためには、如何に取り組んでいくべきだろうか。

SFAやMAを導入したものの、思ったような効果が出せていないと言う企業を見てみると、導入した目的が見失われていることが多い。ここで改めて経緯を振り返り、目的を再認識する必要がある。日本企業の多くは様々な商材を扱っており、その商材ごとに営業担当が置かれがちなため、顧客企業を面で捉えることができなかった。そこでアカウントセールス制度を作ってみたものの、商材が多いことによるアカウント担当者の属人的な偏りが生じた。これに対し、ITを活用した最適化と効率化を進めていくため、SFAやMAが必要とされたはずである。その目的を今一度思い起こさねばならない。

また、マーケティング部門と営業部門がシームレスな連携を図ることも肝要である。マーケティング部門が育てた案件リストを営業部門に渡しても、それが活かされていないという話がよくある。これは、営業部門として扱いたい案件と、マーケティング部門が育てた案件にギャップがあるためである。これを解消するためには、リードジェネレーション(見込客創出)の段階から営業の視点を入れ、営業の期待に応えるマーケティングを設計することが必要であり、それでこそSFAやMAの効果を引き出せる。

組織構造としては、マーケティング部門と営業部門の中間に位置する組織を編成することも一考だ。インサイドセールス的なアプローチと、その状況に応じたマーケティングアクションを適時に実施することで、マーケティング部門と営業部門を繋ぎ、全体の調整機能を担うことになる。第三者的な観点と業務的な成果を求めて、当該組織機能を外注化することも考えられるだろう。

ABMという言葉がこの先定着するのか、消え去るのかはわからない。しかし、BtoBマーケティングにおける重要な示唆を含んでいることは間違いない。当社自身、こうした取り組みを実践し、強化しつつ、その実践経験に裏付けられたご支援を提供していきたい。

[執筆者]
執行役員 兼
ネクストバリュークリエイション事業本部 本部長
辻 大志(つじ たいし)

【FOCUS PROJECT】
マイナビコンタクトサービス様導入事例:当社CRM標準パッケージの性能を活かし、短期間かつ、きわめて安定的なシステム導入を実現!

アウトソーサーとして長期利用を視野に入れ、コールセンター運営に必要な機能を満たしたCRMソフトウェアを熟考した結果、当社提供の「inspirX(インスピーリ) 」を採用!


2016年10月にマイナビのグループ会社として設立された株式会社マイナビコンタクトサービス様(以下、MCS様)は、翌年4月からのアウトソーシング業務開始に向けて、速やかなセンターシステム構築が急務であった。テレフォニー基盤に関しては、PBXやCTI、IVR、通話録音、レポーティングなどをオールインワンのクラウドで提供するジェネシス・ジャパン株式会社のPureCloudに決定しており、PureCloudと親和性のある標準機能を備えた、すぐに利用可能なCRMソフトウェアを探していた。①コールセンター業務に特化した機能を標準で提供して欲しい②業務量の増加に応じてコストがリニアに増加することを抑制したい③アウトバウンド業務効率化のための機能を具備したいという要件があり、5社の提案の中から当社のCRMソフト「inspirX(以下、インスピーリ)」の採用が決定された。

その理由について、MCS札幌センター長の伊藤様は、「アウトソーサーとして使いたいと思う機能が、ほぼ標準で具備されていた印象です。インバウンドでもアウトバウンドでも利用できそうな機能が揃っていて、画面の見やすさ、使い易さが他社製品よりも際立っていました。かゆいところに手が届くというか、『さすがはコールセンター運営を自らがしている方たちが作っているソフトウェアだ』と感じ、運営側としては即決しました。」とのお言葉をいただいた。カスタマイズなしで短期間導入が可能であったことも採用決定の大きな要因であったという。

スタッフの方々からも、画面が見やすくシンプルな操作で使い勝手が良いとの好評価をいただいている。インバウンド・アウトバウンド双方の業務において、応対しながらメンテナンスできるFAQ機能や、顧客応対履歴・過去事例の検索機能などが処理効率の向上に繋がっており、月次の報告会では、ユーザー自身で集計項目、縦軸、横軸を選択しレポートを定義できる統計分析機能を駆使し、様々な確度からの集計が行われている。

シェアードセンターのCRMシステムとして、インスピーリに対する期待は非常に高く、その日その瞬間に伝えたい情報を簡単に一斉周知できるメガホンメッセージ機能、「ターゲットの選定」や「アプローチリストの作成」、「トークスクリプトの作成」、「結果の分析」までキャンペーン業務を一気通貫で支援するキャンペーン機能など、今後、更に活用していきたいとのご希望がある。

MCS様では、BCP(事業継続計画)の観点からも第2センターの開設は必須と捉えており、また高品質で柔軟性のあるコールセンター運営実現のため、SMSやLINEなど多様なコミュニケーション手段も積極的に活用していきたいと考えている。今後も当社ではインスピーリを始めとしたソリューションを用いて、このようなMCS様の事業展開を強力にサポートしていく予定である。

■ アウトバウンドを行う際のコールリスト作成フロー例

アウトバウンドを行う際のコールリスト作成フロー例

[執筆者]
ネクストバリュークリエイション事業本部
齋藤 章子(さいとう ゆきこ)