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【KEY NOTE】
RPA(Robotic Process Automation)の導入・活用に向けて~RPAを事業の加速装置とするために~

ホワイトカラー業務の効率化・自動化を促進するRPA
その導入・活用において考慮すべきポイントは何か


学生の頃、たまたま選択した東欧文学で、チェコの作家カレル・チャペックの「R.U.R.」という戯曲を読んだ。この作品は1920年に発表された劇で、「ロボット」という言葉は、 この劇から使われるようになったという。それを知ってから20年ほど経ったが、この20年だけを見ても、ロボットは、私たちの社会生活の中で身近な存在となった。工場などの生産ラインで自律的に作業を行う産業用ロボットの発展だけでなく、ソニー社が手掛けた犬型ロボットの「AIBO」、CMでもお馴染みになったホンダ社の「ASIMO」、最近では企業の受付までするソフトバンク社の「Pepper」などがある。SFのように思っていたロボットの活用が現実のものとなっている。

ビジネス界では、この数年、RPA(Robotic Process Automation)の導入・活用が話題になっている。これは改めて言うまでもなく、先ほど例示したような物理的なロボットではない。RPAとは、ルールエンジン、機械学習、AI等を含む認知技術を用いた業務の効率化・自動化の取り組みである。これまでの自動化とは異なり、ITリテラシーが高くない業務部門スタッフであっても、直感的な操作で構築・設定が可能なソフトウェアロボットを使い、短期間で業務オペレーションの効率・品質・コストの改善をもたらすことができる。今後、RPAそのものの普及と、RPAを構成する要素技術の発展によって、ホワイトカラー業務の効率化・自動化は、急激に進むことが予想されている。

中・長期的には、雇用の不安すら覚えるRPAの活用であるが、直近、RPAの導入・活用を進めるにあたっては、以下に述べる点を考慮する必要があると考える。

まず、当然のことではあるが、業務オペレーション全体のスループットを考え、どこに導入するのが合理的か、効率化・自動化されることによって何を得るのかを戦略的に判断する必要がある。作業を楽にすることは結構なことだが、それによって生まれる余力をどのように活用するのかを考え、それを統制することが重要である。

次に、RPAで自動化される作業の流れの中で、トレーサビリティを考慮した証跡を残すタイミングを検討することも忘れてはならない。RPAは、人間の手作業よりも、品質が高いことは間違いないが、人間が導入・設定する以上、間違いがないとは言えない。RPAで自動化されることによって、作業内容が隠蔽化されてしまうと、どこでどのような間違いが起こったのかが把握しづらくなる。そのため、RPAで自動化される作業の流れの中で、適切なタイミングで証跡を残すようにし、問題が起こった際には、それを追跡できるようにしておく必要がある。

もう一点は、現在の人間の作業をRPAに置き換えることだけでなく、RPAならできるという新たな作業を見つけ出すことも重要である。人間の物理的な制約を理由に、当然のごとく実施していなかった作業の中で、付加価値を生み出し得る作業を新たに切り出し、これをRPAに担わせることによって、新しいビジネスの種となる可能性がある。

RPAを構成する要素技術は日々向上し、RPAが担う範囲は確実に広がっていく。こうした流れはもはや止めることはできない。この流れに飲み込まれてしまうのか、それとも事業の加速装置として活かせるのかは、私たち使い手に掛かっている。

【FOCUS PROJECT】
導入するだけでは意味がない!昨今注目度の高いマーケティングオートメーションを軸としたデジタルマーケティング実践を支援!

マーケティングオートメーションのソリューションベンダーと協業。EC、アパレル、旅行会社等の顧客に対し、導入・活用を通じてマーケティング施策の実践を支援し、成果創出に貢献。


昨今、CRM領域の最注目トレンドのひとつであるデジタルマーケティング。その実行支援として、現在、バーチャレクス・コンサルティング(以下、当社)は、某ソリューションベンダーと協業し、マーケティングオートメーション(以下、MA)の導入からその後の活用や施策展開までを支援している。

マーケティング周辺領域のテクノロジーの進化は凄まじく、MAを始めとする様々なツールを次々と導入している企業も多い。しかし実際には有効活用できておらず、コストも業務量も増大してしまったケースが多々ある。MAを適切に導入・活用し 、成果を創出するためには、マーケッターとしての基礎スキルを始め、マーケティングに関連するテクノロジーの知識、あるいは営業等他部門との連携に必要な知見等が不可欠だが、多くの場合、ベンダー、ユーザ企業の双方に、こうした能力や意識が不足している。また、MA導入という手段が目的化していることも少なくない。

当社が支援した顧客企業の一つである、SaaSソリューションベンダーもそうだった。マーケティング強化による売上増加という"よくある"動機でMAの導入が決定され、当社が支援することになったのだが、具体的施策の企画段階で議論が停滞。MAをどのように活用することが売上増加に繋がるのかが曖昧で、企画の方向性が拡散してしまう。それが、議論が進まない原因であった。そこで当社は、彼らの事業課題を確認し、MAを活用して何を成し遂げるべきなのかを明確化することに注力。その結果、既存顧客の解約増が最も深刻な課題と判明した。これを踏まえ、一般的なMAの活用方法である「見込客の創出・育成」を目的とした施策展開ではなく、「既存顧客へのリテンション」を目的とした施策を展開することを当社から提案し、それらを実行した。これにより、解約率低下等の成果が得られた。

MAは非常に有用ではあるが、あくまでツールでしかない。上記のようにMA活用の目的とゴールを明確化することが導入の大前提である。そして、この大前提を踏まえて施策を展開し、その成果を測定する。成果の測定には、可視化も必要である。当社は、こうした当たり前のことを意識し、根付かせていくことで 、MAのスムーズな導入と有効活用を支援している。

下図のように、当社は、本件のような支援領域以外にも、事業戦略やそれを踏まえたデジタルマーケティング戦略の策定、テクノロジーの選定・導入支援、運用代行まで、一貫したサポートを提供している。今後ますます、デジタルマーケティングの流れが加速していく中で、これらのサービスをさらに強化し、顧客企業様の事業成果に貢献していきたい。

■ 当社デジタルマーケティング支援サービス全般と本プロジェクトでの提供範囲

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