infinity

インフィニティvol15

Vol.15 2016年12月20日発行

目次:

  1. KEY NOTE: コンタクトセンターにおけるアダプティブ・マネジメント~マザーセンターの活用によるセンス&レスポンス型のマネジメント~
  2. MANAGEMENT VIEW:少年サッカーコーチの価値は勝ち負けではない
  3. FOCUS PROJECT:国の管轄する独立行政法人でのインバウンド業務をシステム面で支援。初のinspirX 5 導入&完全クラウド閉域網構築案件!
  4. RECOMMENDATION:『マインドフルネスの教科』藤井 英雄:著 / Clover出版:出版

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【KEY NOTE】
コンタクトセンターにおけるアダプティブ・マネジメント~マザーセンターの活用によるセンス&レスポンス型のマネジメント~

不確実性が増大し、予測不能性が高まり続けている現代社会。コンタクトセンターマネジメントはどうあるべきか?


「経済、社会、政治における不確実性の増大によって、多くの企業が未だに実施している計画 立案や確率に基づく予測は、逆効果ではないにしても無駄になりつつある。」-----これは、ピーター・ドラッカーが残した言葉である。彼は、現代社会では不確実性が確実に増大していること、それによって従来型のマネジメントが通用しなくなることを指摘している。

従来型のマネジメントは、変化がある程度予測可能であることを前提に置いている。ある程度予測可能であるからこそ、計画を立てることができ、ある程度予測可能であるからこそ、その計画の枠に沿ったプロセスの効率的な運営に注力でき、ある程度合理的な成果を導くことができていた。確かに 、かつてはそうだった。

現在の市場環境はどうか。情報技術が発展し、それを手にした消費者の行動は複雑化しており、急速かつ不連続な変化が加速化している。すなわち、予測不能性が日々高まっているのである。このような状況では、計画立案も、それに基づく運営管理も、かつてのような成果を導出することはできない 。

では、どのようなマネジメントが求められているのか。それは、センス&レスポンス型のアダプティブ・マネジメントと言われている。"アダプティブ"とは「適応性のある」と訳することができる。つまり、この管理手法は、変化が予測不可能であることを前提に、目の前の状況に適切に対応することを目的としている。常に外的環境に目を向け、感知し(センス)、その状況に対応(レスポンス)する、ということである。環境変化が激しい現代社会において、このようなマジメントが必要とされるのは十分に理解できる。だが、具体的には、どのようなマネジメントモデルとして運営されるべきなのだろうか。

顧客や消費者と様々なチャネルでやり取りをする顧客接点領域においては、まさに切実な問題である。顧客や消費者は、次々と現れるデバイスやチャネルを手にし、そこから得られる情報を活用しながら、日々、行動を変化させている。そういった顧客や消費者を捉え、的確な対応を図ることが求 められているコンタクトセンターは、まさに変化の最前線に立たされているのである。変化を的確 に感知(センス)し、即時に対応(レスポンス)できるコンタクトセンター運営の実現-----その一つのアプローチとして、マザーセンターを活用したマネジメントモデルがある。マザーセンターは、実際の業務を運営しながら、常にベストプラクティスを求め、試行を小規模で繰り返す。ここで培われたベストプラクティスは、大規模センターの定常業務に反映され、全体としてのパフォーマンス向上を図る。応答率の向上、業務生産性の向上、問い合わせの削減、インサイドセールスの高度化、マーケティングアクションの効率化、新たなテクノロジーの活用検証等、様々なテーマについて、マザーセンター自体がセンス&レスポンスし続け、コンタクトセンター全体の適応性を高めるのである。

顧客や消費者の振る舞い、嗜好、興味、要求は常に変化し続けている。彼らと向き合い、寄り添っていくことは決して容易なことではないが、マザーセンターの活用が一つの道筋となるだろう。

■ マザーセンターモデル活用例
マザーセンターモデル活用例


【FOCUS PROJECT】
国の管轄する独立行政法人でのインバウンド業務をシステム面で支援。初のinspirX 5(インスピーリ)導入&完全クラウド閉域網構築案件!

長年のユーザ様がサーバ老朽化のため、システムリプレイスを検討。厳しいセキュリティ要件を満たし、最新バージョンである「inspirX 5(インスピーリ ファイブ)」をクラウド環境で導入。


共済に関するお問い合わせや資料送付の対応を電話や、メールを中心に行う独立行政法人のC様は、当社自社開発のCRMソフト「inspirX(以下「インスピーリ」)」の長年のユーザであり、サーバ老朽化を機にリプレイスを検討されていた。旧バージョンではコンタクト履歴の蓄積の他、対顧客向けFAQ連携、電話基盤連携ポータルサイトへの連携、基幹顧客データ連携など多岐に渡って利用されていたが、今回は「本当に必要な機能に絞る」とのことで運用コスト削減、より付加価値のある新たな機能の導入を目指されていた。

またインフラ面 では、オンプレミス環境からクラウド環境へ変更を希望されており、国の管轄する機関であるため「完全クラウド閉域網でシステム構築を行う」という、非常に厳しいセキュリティ要件に応えるため、保守運用の全面的な見直しを行った。

旧バージョンを知り尽くされているだけに機能の踏襲を希望され、新バージョンであるインスピーリ5との機能ギャップの穴埋めが難しい部分は、お客様のご意見を都度伺い、話し合いや対応策の検討を重ね、相互理解と信頼関係を深めた。

そして、結果的にインスピーリ5にリプレイスしたことで、様々なメリットがもたらされたようである。まずKPIの可視化や、顧客情報の多角的利用が可能になったことがあげられる。また業務効率化を重視し「コールの80%は同じような問い合わせ、残りの20%は思慮深い対応を必要とする問い合わせ 」というパレートの法則に基づいて強化された機能のひとつ、アテンション機能のフル活用で、優良顧客への、より手厚い対応が可能となった。更に電話基盤の変更により、リアルタイムで架電情報を通知する機能が作成でき、ポップアップしてきた画面のボタンを押せば簡単に再架電でき、放棄呼処理の効率化、機会損失の減少につながった。

本案件は最新バージョンであるインスピーリ5の初導入案件であったが、当社にとって常に進化するCRMを設計し続け、お客様に貢献できていると再確認した案件となった。

■ 本件におけるインスピーリのシステム構成図

本件におけるインスピーリのシステム構成図