infinity

infinity(インフィニティVol1)

Vol.1 2013年5月31日発行

目次:

  1. KEY NOTE: O2O(Offline To Online)のこれから ~求められる人間的な繋がり~
  2. MANAGEMENT VIEW:空気に左右されない強さの実現
  3. FOCUS PROJECT:新潟県佐渡地域医療ネットワーク構築支援プロジェクト
  4. RECOMMENDATION:「勝ち続ける意志力」梅原 大吾(著)

PDF版ダウンロードはこちら

【KEY NOTE】
O2O(Offline To Online)のこれから~求められる人間的な繋がり~

O2Oをどう理解し、どう捉えるべきか? これからのO2Oはどうなるのか?
その答えは、人間としての繋がりを見つめ直すことから見えてくる


O2Oという言葉が広がり、関心を集めている。O2OはOnline To Offlineの略称で、インターネット上のユーザの活動(Online)を実店舗での消費活動(Offline)に結び付けることを指すが、OnlineとOfflineの連携・融合という、より広い意味を持つようになっている。

だが、OnlineとOfflineの連携・融合と言えば、かつて「クリック&モルタル」という言葉もあった。では、O2Oはそれとどこが異なるのか。 最も大きな違いは、スマートフォンなどのモバイル端末が普及し、それを活用した連携・融合が求められている点であろう。O2Oと言われている事例を見ても、スマホ活用やそれを前提としたSNS活用が多い。O2Oを考える上では、購買行動プロセスの中に、モバイル端末を如何にうまく組み込むかがカギになる。

一方で、モバイル端末の活用を含む、様々なO2Oの事例を見ると、確かに 興味深いマーケティング施策などはあるものの、果たして、これがOnlineとOfflineの連携・融合の絵姿なのだろうか、と考えてしまう。そこで、これからのO2Oの方向性について考えたい。

O2Oの事例の多くは、Onlineから始まるストーリーが多い。O2Oの語源からすれば当然のことだが、重視すべきはOfflineから始まるストーリーではないか。Offlineとして実店舗に来たお客様は、お店にいる間、店員と繋がった状態にある。そして、お客様がお店から出ると、繋がりが一旦中断する。この中断した繋がりを補い、再来店のきっかけを作るために、Onlineでの繋がりを作り、再びOfflineで繋がる。お客様との人間的な繋がりを大切に考えれば、このようなO2Oのストーリーをより重視すべきだろう。

それから、現状のOnlineとOfflineの間には明らかな境界線があり、これを跨ぐ際の不自然さがある。これは、バーチャルとリアル、デジタルとアナログという違いに因るものではなく、そこに人間性があるかないかだろう。Offlineでの接客は、人間的な人と人とのやり取りを感じ取れるが、現在のOnlineでのアプローチは極めて機械的な情報のやり取りとなっており、人間的な香りが漂ってこない。これからのOnlineとOfflineの連携・融合においては、ソフト面・コンテンツ面での一貫した人間性が重要になるだろう。

また、モバイル端末の特性を更に活かす方向性も忘れてはならない。モバイル端末には、 インターネットに接続する機器というOnlineの側面と、人間の実生活に寄り添う機器というOfflineの側面とがある。現在、位置情報を利用したGISマーケティングなどがあるが、今後は、モバイル端末が一つのセンサー機器として個々人の様々な状態を把握し、OnlineとOfflineの、より自然な連携・融合を可能にするだろう。すなわち、モバイル端末が人間の人間らしい活動を把握し、人間味のある自然なサービスを演出する役割を担い、OnlineとOfflineの境界線を消し去るようになる。こうして見ると、O2Oが進むべき方向性は、 お客様を中心に据え、人間的な繋がりを大切にすることにある。O2Oの取り組みは始まったばかりだ。これから様々なアイデアや技術が生まれるだろうが、人間的な繋がりという観点を我々は失ってはならない。


【FOCUS PROJECT】
「島全体を一つの総合病院のように」
佐渡地域医療連携基盤強化に向けた支援を実施

少子高齢化が進む日本。特に過疎化に苦しむ地方での医師不足は非常に深刻だ。そのような中、新潟県佐渡では「日本初」の取り組みが進んでいる。


2013年4月1日、「佐渡地域医療連携ネットワーク(さどひまわりネット)」が稼動を開始した。バーチャレクス・コンサルティングでは2009年度から佐渡医師会などが進める「佐渡医療圏地域医療再生計画」に基づき、地域医療連携ネットワークシステム・在宅診療支援システムの具体化に向けた全体計画の策定・システム要件定義を支援している。

過疎地における医療資源不足や地域間格差を解消するため、地域一体となった医療情報連携への取り組みが各地で始まっているが、多くの場合、中核病院の電子カルテシステムの連携にとどまっているのが現状だ。

電子カルテだけでなく、医科歯科薬局レセコン、院内・院外検査システム、各種画像システムを、メーカーによって異なるフォーマットの違いを越え、病院、医科・歯科診療所、薬 局、介護施設等に日々蓄積される医療情報のすべてを一元管理し、地域全体で共有・活用をする先進的なシステムの稼動にこぎ着けたのは、新潟県佐渡が「日本初」といえるであろう。

もちろんこれらを実現するためには、膨大な時間と労力を必要とする。各施設に導入され ているシステムの調査から始まり、施設からの委任状の収集、ベンダーへの協力依頼、仕様調整、費用交渉といった作業を、システム毎に個別に行っていく必要がある。これは医療システムの競合同士となる大手ベンダーには困難な作業であり、弊社のようにコンサルタントとして中立な立場に立てるからこそ実現可能な非常に泥臭く根気の必要な作業である。 弊社のコンサルタント達は慣れない医療用語や機器の構造に悪戦苦闘しながらも、徐々に 知識を蓄え、本プロジェクトの第一トラックを完走した。今年度は、更に在宅診療・介護情報の連携である。これからも本プロジェクトの進捗に目が離せない状況だ。

■ 地域医療連携基盤強化に弊社のCRMノウハウを活用
1focus.jpg